外しの美学を備えたSUV+α
スズキ エスクード
実は欧州発の輸入車(写真4枚)
現在大ヒット中の軽クロカン4WDである新型ジムニー。元々スズキは世界各国にジムニーを輸出している事からこのジャンルに関しても数多くのノウハウを持っている。その中で、ジムニーと同等の性能を持ち、市街地から高速道路まで乗用車テイストで楽しめるモデルとして1988年に登場したのが初代エスクードである。
初代は1.6リッター車からスタートし3ドアや5ドア(ノマド)、さらに代を重ねるごとにパワートレーンも増えていったが、2代目以降は当時の提携先であるGMの意見が反映されグローバルモデルとして少し欲張りすぎたのか日本市場では初代のような勢いは薄れてきたのが現実だ。
現行モデルは4代目で2015年10月から販売を開始した。昨今のトレンドであるダウンサイジング化も行われているが、実はこのクルマ、日本ではなくハンガリーにある「マジャールスズキ」という現地法人で生産されるれっきとした輸入車なのである。同社はこれまでも輸入台数こそ少なかったが、過去スプラッシュという非常にハンドリングに優れたコンパクトカーや現在でもエスクードの他、SX4 S-CROSSも輸入している。
個人的な見解だが、同社のクルマは皆、魅力的なハンドリングを有する。どちらかといえば、少し前の欧州車のフィーリングに近く、特にスプラッシュなどはその傾向が顕著だった。エスクードに関してはそこにしなやかさがプラスされ、SUVとは思えないほど高速走行時の安定性の高さ、そしてSUVにありがちなコーナリング時のグラッと来るロール感もうまく抑えられている。
パワートレーンも導入時は1.6リッターのみだったが(残念ながら近々ラインナップから落ちるはず)2017年7月には現在のスイフトスポーツと同じ1.4リッター直4ターボを搭載した。このエンジン、スイフトスポーツの場合はハイオク仕様だが、エスクードはレギュラー仕様となる点もおサイフに優しい。
コンパクトSUVのカテゴリーに入る事で最小回転半径も5.2mと小回りも利く、何よりも乗降性にも優れ、市街地での取り回し性能にも優れる。
ラゲージスペースは375リットルとそれほど大きくはないが、リアシートの分割可倒式機構の他にラゲージボードの高さを2段階に調整できる事で荷物の種類に応じてアレンジ出来るなど小技も利いている。
何よりもこのクルマ、あまり街を走っていない(失礼)事もあり本当に目立つ。車両価格も実はスズキが生産するクルマの中では最も高額ながら258万6600円とリーズナブル。先進安全装備も一世代前だが、高速走行時に便利なACCも標準装備される。「へえ、珍しいクルマ乗っているね?」と聞かれたら「これハンガリーから持ってきているんですよ」とかウンチクが語れそう。話のネタにもなり実用性も高いSUVなのである。