ステアリングを切り込むと、ほとんどロールを感じさせることなく速やかにクルマが向きを変え始め、出口が見えたところでアクセルを深々と踏み込めば、リアから力強く押し出すようにして加速していく。SUVというフォームでありながら、ハンドリングの切れ味にとことんこだわっているのが、このステルヴィオなのだ。
こうした走りを実現するために、ステルヴィオは後輪駆動及びその派生版としてのAWD用として新開発されたプラットフォーム”ジョルジョ”を、昨年登場したジュリアに続いて採用する。SUVだけに背が高くなり、200mmものロードクリアランスを持つにもかかわらず、ほぼ50:50を実現した前後重量配分、拡大された前後トレッド、ジオメトリーを最適化したアルミ製サスペンション等々により、実測でも同クラスのセダンをも凌ぐほどのロール角の小ささを実現したという。
ハードなサスペンションを採用するのではなく、こうして素性を磨き上げることによって優れたハンドリング特性を得ているだけに、乗り心地が犠牲になっていないのもステルヴィオの美点だ。もっとも、調子に乗ってワインディングロードを攻めていたら、さすがに同乗者はあまり快適ではないかもしれないけれど…。
SUVでもアルファ ロメオらしさはたっぷり

エンジンは最高出力280ps、最大トルク400Nmを発生する2リッター ターボ。低回転域から力強いエンジン特性と、8速ATのきめ細かな変速ぶりによって、どんな場面でも意のままになる加速を得ることができる。しかも、高回転域での心地よい伸び感も、しっかり備えているのが嬉しい。
ステルヴィオは全車AWDだが、Q4と呼ばれる電子制御式のそのシステムは、通常はほぼFRとして走行し、必要な時だけ前輪にも駆動力を配分する。コーナー出口で、アンダーステアの心配は無用に躊躇無くアクセルを踏み込んでいけるのは、このQ4のおかげだ。