分刻みのスケジュールで働き、息をつく暇もないくらい、闘いの世界に身を置いている読者は多いだろう。そんな忙しないビジネスマンだからこそ、大事にしたいもの。それは遊びゴコロではないか。
ビジネスシーンでのウィットな切り返しやユニークな発想は、時として大きな武器になる。そして、それらは心の余裕があってからこそ生まれるもの。そう、心の余裕が生む、遊びゴコロだ。で、そんな遊びをテーマにした、乗りモノがこのたび復活を遂げた。ホンダの「モンキー」である。
小さいからといって侮るなかれ。「モンキー」は創業者の本田宗一郎氏が手がけ、昨年50周年を迎えた累計生産約66万台を誇るロングセラー。大人一人が跨がれるとても小さな体躯に、バイクの構成部品をコンパクトに取り付けた斬新パッケージが魅力の、名機スーパーカブのエンジンを載せた50ccの原付きレジャーバイクだ。
“お猿”というネーミングもさる(←駄洒落ね)ことながら、その小さな見た目と可愛らしさから周囲の誰もがニンマリするほど。かの偉大なミュージシャン、ジョン・レノンもその魅力にハマったひとり。かつて所有していた初代モンキーは今年3月、英オークションで818万円の価格で落札されたというニュースが話題になったばかり。今なお日本を初め、世界中に根強いファンをもつ、バイク界のアイドル的存在が、モンキーなのだ。
また、読者諸兄のなかにも、高校生になって初めて公道を走ったバイクとして、あるいは友人や先輩から譲り受けて乗っていたなどなど、青春時代をモンキーと共に謳歌したという人は、多いのでは? 交差点で大型トラックと並んだときに恐怖したり、エンジンの排気量をボアアップして、ロンスイ(ロングスイングアーム)に改造したりと、イジることでバイクの基本構造を覚えた人もいるはず。
そんなモンキーが世界的に厳しくなる排ガス規制のあおりを受け、ホンダが「生産継続を断念」と発表したのは昨年のこと。50周年を記念した限定500台の最後のモデルには、予想を大きく上回る約4万5000人の購入希望者が殺到。
そして、そんなアツいファンに応えるべく、排気量を50ccから125ccに拡大し、このたび「モンキー125」として復活を遂げることになったのだ。