新型ポルトフィーノは、前モデルのフェラーリ「カリフォルニアT」に代わる新たなクーペ・スパイダーの2+2シーターGTモデルとして登場した、いわゆるフルモデルチェンジ版だ。これまで同様、2+2の4座全天候型のハードトップオープンに変わりは無いが、オープンカーとしては珍しいファストバックスタイルを採用。車名はアメリカの”西海岸”からイタリア北西部、地中海に面した美しい港町”ポルトフィーノ”のネーミングが与えられた。
前身となる「カリフォルニア」は2008年に登場。V8エンジンをフロントに搭載したFRレイアウトに、2+2シーターGTという利便性や使い勝手も兼ね備えたフェラーリとしては初めてのモデル。全天候型リトラクタブル・ハードトップ機構を備え、エンジンの直噴化や瞬時に変速を行うダブルクラッチ機構の7速DCT、アイドリングストップなど、近年のフェラーリでは当たり前となった各種革新的技術を採用。当時の新車価格は約2400万円と、エントリーモデルとして日本をはじめ、世界中のマーケットで成功を納めたモデルでもあった。しかも、日本市場ではオーナーの大半が「初めてのフェラーリ」という。
また、2014年には近年のダウンサイジング・トレンドに従いフェラーリもターボ化時代へと突入。90度V型8気筒エンジンは3.9?に排気量を縮小、ツインターボで過給した「カリフォルニアT」へと進化を遂げる。
「新型ポルトフィーノは、これらカリフォルニア2世代分の基本コンセプトは継承しつつも、内外装から中身も含め、さらに磨きをかけた」と話すのは、国内発表会のプレゼンで登壇したフェラーリ極東・中東エリア統括 CEOディーター・クネヒテル氏。
また、「新型モデルで最も困難だったのは軽量化でした。おかげでよりシャープで硬質なドライブフィーリングを楽しむことができます」と続けた。フェラーリが完全新設計と謳うアルミ合金製スペースフレームは先代比で35%の剛性アップを図りつつも、車重は80kgもの大幅な軽量化を実現したという。
加えて同社GTモデルとしては初採用となる電動パワーステアリングの新機軸と、第3世代の電子ディファレンシャル「E-Diff3」を統合するシステムを新たに構築。「ステアリングレシオを7%減らしながら、スタビリティを損なうことなく操舵のレスポンスタイムも削減した」とクネヒテル氏。さらにオープンフェラーリ史上最強の600馬力! 0→100km/h加速3.5秒を誇るパワフルな心臓部を手に入れた。