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「自動車業界の現状を深く知りたいと考えているビジネスパースンにもぜひ読んでほしい」

実を言えば私は『間違いだらけのクルマ選び』の読者ではなかった。学生時代に書店で立ち読みして、そのあまりの辛口ぶりについていけず本を閉じて以来、まったく手にとっていなかったのだ。そんな私に、まさかお鉢が回ってくるとは。けれど、きっとそんな私だったからこそ指名されたのかなと今では思っている。

ともあれ、2011年夏に発売した『2011年版』から2014年冬の『2015年版』まで、通算5冊の『間違いだらけのクルマ選び』をともに世に出すことができた。この期間の、様々なかたちでのやり取りは今も私にとっては大切な宝物である。

そして、その後の『2016年版』以降は、私が単独の著作として、この『間違いだらけのクルマ選び』を出し続けている。世間のクルマに対する熱量は下がり、出版を取り巻く状況も厳しいだけに、決して順風ではないが、なんとかその火を消さぬよう勤しみ、昨年末には無事に『2019年版 間違いだらけのクルマ選び』を発売することができた。

近年の『間違いだらけ〜』で意識しているのは、クルマ選びの指針としてもらうことはもちろん、クルマを取り巻く社会や経済を、ときに俯瞰で、ときにディープに理解するための助けになる本としたいということだ。自動車業界はビジネスの規模がとてつも無く大きく、その動向が社会や経済に与える影響は甚大である。それゆえに経済メディア、一般のニュースなどでも大きく取り上げられる機会が多いが、そこで語られるのは、工業製品としての、商品としての、自動車に過ぎない。

そこでは、19世紀に発明されて以来、これまでの長きに渡って世界中の人々を魅了し、それゆえにここまで存在してきたクルマについて、何も語ることができていない。電動化も、自動運転も、本来ならばその観点無しには本質を理解することは叶わないはずである。

『2019年版 間違いだらけのクルマ選び』は、いわゆるクルマ好きの方にはもちろん、自動車業界の現状を深く知りたいと考えているビジネスパースンにもぜひ読んでほしいと思いながら執筆した。私には徳大寺氏のように芸術もファッションも語れないが、クルマに対する深い愛情をもって、経済メディアなどで語られる”自動車”とは違った視点の”クルマ”を論じることができたと自負している。寝る前の娯楽としてでも、あるいは出張の伴としてでも、手にとっていただけたら、とても嬉しく思う。

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文/島下泰久 Yasuhisa Shimashita

サステナ主宰
モータージャーナリスト
2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

1972年神奈川県生まれ。燃料電池自動車や電気自動車などの先進環境技術、そして自動運転技術を中心に、走行性能、ブランド論までクルマを取り巻くあらゆる事象をカバー。自動車専門、ライフスタイル系などのwebメディアをはじめ、専門誌、一般誌、ファッション誌などの雑誌に精力的に寄稿している。また並行して講演活動、テレビ、ラジオなどへの出演も行なう。
海外モーターショー取材、海外メーカー国際試乗会へも頻繁に参加しており、年間渡航回数は20回を超える。 2011年6月発行の2011年版より、徳大寺有恒氏との共著として『間違いだらけのクルマ選び』の執筆に加わる。2016年版より単独での執筆になり今に至る。
2016年にサステナをオープン。主筆として一般自動車専門誌、webサイトとは違った角度から、未来のクルマと社会を考察中。



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