【飛躍】
ショップがブレイクしたのは、’80年代初頭。”イタカジ”ブームが追い風となった。デニムの尻ポケットにスタンプを押した、オリジナルのパンツ「クローズアップ」を販売すると、爆発的に売れた。すぐに下通りアーケードに2号店を開き、伝説の「クローズド」や「ボール」などを揃え、地元、熊本で不動の地位を得た。
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アーケードには、ほかにもグループの店がある。【店名】
英語で入江や湾を意味する”ベイ”と、小川の”ブルック”と合わせたのが「ベイブルック」の由来。小さな支流が交わり、ひとつの大きな湾になるという店名は、ショップの拡大を示唆したかのようだ。熊本で基盤を固めると、福岡、長崎へと出店し、現在34店舗を展開。「ブルック」「パンナ」「ハガネテーラー」など、個性的な店名もあり、「ベイブルック」の広がりある世界観をグループで具現化する。
【クラシコイタリア】
東京でも「ベイブルック」の名前が聞かれ始めたのは、クラシコイタリアが浸透した’90年代。九州で「キートン」のスーツを最も売っていたのが、何を隠そう「ベイブルック」だった。ナポリの職人による巧みな技術を生かした、しなやかなスーツは、土地柄もあってか一気に顧客を魅了。土地柄を代表するのが”ワサモノ”だ。”ワサモノ”とは、新しいモノ好きのことをいい、熊本にはめっぽう多い。見栄ではなく、新しいモノには「これがそうか」と所有しなければ納得しない人たちであり、文化である。
【ポリシー】
原田社長は、「ファッションの基本にアメリカはあるのか、イギリスは根付いているのか、イタリアの色気は備わっているのか」と、それぞれのオリジンを見分けて、自信を持って商品を提案してきた。そして、スタッフには「自由にやってみろ」と。この38年、九州の窓口としてファッション文化を担ってきた「ベイブルック」は、いまも新しい。
ブルック ギャラリーを見る(写真2点)
ブルック
住所:熊本県熊本市中央区上通町6-23 長崎書店ビル2F
TEL:096-324-0507
営業:11:00 ? 20:00
不定休
ホームページ: https://www.baybrook.co.jp/shop/detail.php?shop=5
[MEN’S EX 2018年11月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)