いまやすっかりブームからジャンルに定着した、腕時計界の一大トレンド「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」。入手困難な弩級モデルから、手の届くラグスポテイストモデルまでを1冊にまとめたバイヤーズガイド『ラグジュアリースポーツウォッチ大全』から、その中身をご紹介しよう。
ジェンタデザインのモデルを蘇らせた現代の高耐磁ラグスポ
IWC(アイ・ダブリュー・シー)
インヂュニア・オートマティック 40

【SPEC INFORMATION】
ケースサイズ:40mm ケース素材:ステンレススティール ブレスレット:ステンレススティール 巻き上げ:自動巻き 搭載キャリバー:Cal.32111 防水性能:10気圧 振動数:毎時2万8800振動 パワーリザーブ:120時間
価格:177万6500円

ラグスポのデザインコードで復活
1955年に誕生したIWC初の高耐磁ウォッチ「インヂュニア」。独自の“ペラトン式”と呼ばれるラチェット動力伝達両回転型の自動巻きムーブメントを軟鉄製インナーケースで包み込み、ドイツ語で“エンジニア”を意味するモデル名にふさわしい優れた耐磁性能を獲得した。そして誕生から約20年後の1976年、この高耐磁モデルがラグスポの生みの親であるデザイナー、ジェラルド・ジェンタの手により「インヂュニアSL」として再生。現行の「インヂュニア・オートマティック 40」は、そのラグスポデザインを踏襲した1本となる。
現行のインヂュニアでは、1970年代オリジナルのデザインをベースとしつつも、現代アレンジを加えて再現。特徴的なパターンをもつ“グリッド”構造の文字盤は、互いに90°ずらした繊細な線で構成され、軟鉄製のブランク材にプレス加工してから電気メッキが施される。文字盤カラーはブラックやシルバーのほか、モダンなアクアカラーがラインナップ。また、センターリンクがH型コマを繋ぐ一体型ブレスレットを採用し、ポリッシュ&サテン仕上げを使い分けて高級感を演出。このアクア文字盤モデルではセンターコマをポリッシュに磨き上げた。
さらにベゼルをビスで固定するのもジェンタデザインの特徴。5つの多角形ビスを使ってベゼルをブレスレット一体型のケースにねじ込み、ラグスポの特徴である厚さ10.7mmの薄型を実現した。内部には120時間のロングパワーリザーブを備えた最新型の自動巻きキャリバー32111を搭載。もちろん伝統的な軟鉄製インナーケースが組み込まれ、磁場の影響から最大限にムーブメントを守る。
本作にはSSの3色(アクア・ブラック・シルバー)以外にグレー文字盤のチタンケースモデルも揃う。伝統と最新技術を融合した最強の高耐磁ラグスポだ。