"コンセプチュアル"ってアート的にどういうこと?【ビジネス"ART"会話#5】

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近頃、エグゼクティブの間でますます話題のアート。知識を広げ、ビジネス会話を広げるためには、アートの「用語」にも精通しておきたい。

ゴードン・マッタ=クラーク(Gordon Matta-Clark)
ゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)の代表作である、建築物の一部を切断するシリーズの最大規模の立体作品が、待望の日本初公開。本展では、彼の活動を、彫刻・映像・写真・ドローイングなどから多面的に考察する。
《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵
San Francisco Museum of Modern Art, Purchase through a gift of Phyllis C. Wattis, The Art Supporting Foundation, the Shirley RossDavis Fund, and the Accessions Co㎜ittee Fund: gift of Mimi and Peter Haas, Niko and Steve Mayer, Christine and Michael Murra;
Photo: Ben Blackwell; Courtesy the San Francisco Museum of Modern Art.

"コンセプチュアル"

コンセプチュアルとは"新たな価値への転換"

建築物を切断する大規模なアート作品で、世界的に知られるゴードン・マッタ=クラーク。世界経済が爆発的な勢いをもった'70年代のN .Y .を中心に活動し、アート、建築、ストリートカルチャー、食といった分野に関わったコンセプチュアル・アートの先駆者として、今なお熱い注目を浴びている。

「コンセプチュアル」というアートワードは、コンセプト=「基本的な考え方」の形容詞で、「概念的な」という意味。「コンセプチュアル・アート」を一言で説明すると、絵や彫刻などの物質的な形態より、作品の背後にある考え方が核となるアートを指す。例えばジョン・レノンがオノ・ヨーコと恋に落ちたのは、ギャラリーの天井に描かれた「YES」という小さな文字を、梯子に登って虫眼鏡で読むというコンセプチュアルな作品がきっかけ。ジョンは「YES」という言葉にピースフルな受容のコンセプトを感じ、ヨーコの虜になった。

アートに興味のない人にとっては、この「切断された家」はアートに見えないかもしれない。でも、その背景にあるコンセプトを知ったらどうだろうか。土地開発のため立ち退きにあった住宅を分裂させた作品は、その土地から失われていく人間的な空間を浮き彫りにする。雑多な人間の営みに新たなアートの定義を発見した、ゴードン・マッタ=クラーク。彼の刺激的な作品に触れて既存の枠組みから飛び出すことで、新たな価値への転換に気づけるかもしれない。


ゴードン・マッタ=クラーク(Gordon Matta-Clark)
Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone©TheEstate of gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

アーティストはこの人!
ゴードン・マッタ=クラーク(Gordon Matta-Clark)

没後40年が経った今も世界中の美術館で展覧会が企画され、現代美術の若手アーティストで彼の影響を受けていないものはいないと言われるほどの人気を誇る。彼自身は美術館での展示を好まず、ストリートに飛び出して建築物を切断することで、生活空間を破壊するN.Y.の都市開発に疑問を投げかけた。既存のアートの価値観をひっくり返した過激な活動は、35歳で夭折したことで伝説となった。


現代美術と食の関係は深い。料理に関するアート・プロジェクトは、マッタ=クラークが開祖

レストラン「フード」の前で、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアール 1971年個人蔵
レストラン「フード」の前で、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアール 1971年個人蔵
Photo: Richard Landry©The Estate of gordon Matta-Clark; Courtesy Richard Landry, The Estate of gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/HongKong.

現在のアート・シーンに大きな影響を与えている、食に関するプロジェクト。アーティストたちが働くレストラン「フード」をオープンさせたマッタ=クラークは、パフォーマンスや音楽のイベントを通して多くの人々と交流した。

都市空間の隙間に見える、アノニマスなグラフィティに注目。いち早く、自分の作品に取り込んだ

《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
©The Estate of gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

当時のN.Y.では、スプレーによるグラフィティが盛り上がりをみせ、人種差別や貧困、権力への抵抗といったメッセージが込められた。マッタ=クラークはグラフィティだらけの電車のモノクローム写真に着色し、匿名のメッセージに強い光を当てた。

『ゴードン・マッタ=クラーク展』

会期:開催中。9月17日(月・祝)まで
会場:東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開館時間:10時~17時(金・土曜は21時まで。入館は各閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(7/16、9/17は開館)、7/17
料金:一般1200円ほか
お問い合わせ:ハローダイヤル Tel.03-5777-8600



[MEN'S EX2018年8月号の記事を再構成]
文/柘植 響 構成/神山典子

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