いまやすっかりブームからジャンルに定着した、腕時計界の一大トレンド「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」。入手困難な弩級モデルから、手の届くラグスポテイストモデルまでを1冊にまとめたバイヤーズガイド『ラグジュアリースポーツウォッチ大全』から、その中身をご紹介しよう。
ギガヨットのコンセプトで究極のラグジュアリースポーツに
CVSTOS(クストス)
チャレンジ シーライナー ダブルトゥールビヨン レインボー

【SPEC INFORMATION】
ケースサイズ:53.7×41mm ケース素材:18Kレッドゴールド×サファイア ストラップ:ラバー 巻き上げ:手巻き 搭載キャリバー:Cal.CVS8550 防水性能:100m 振動数:毎時2万8800振動 パワーリザーブ:約60時間
価格:4620万円

見た目以上に中身も最上級の豪華さ
2019年、旗艦コレクションに加わったのが、究極の船“ギガヨット”をテーマにしたコンセプトスポーツウォッチ「チャレンジ シーライナー ダブルトゥールビヨン」だ。ギガヨットとはヘリポートやプール、コート、映画館などの設備と最新機能を備えた300フィート以上の巨大ヨットを指す。この壮大な世界観を再現するため、クストスでは2基のトゥールビヨンを搭載したムーブメントを開発。なかでも最もラグジュアリーなこちらのモデルでは18KRG ケースの前面にブルー、グリーン、イエロー、ピンクのサファイアをレインボー状にセットし、よりエレガントさがアップしている。
本作の特徴は8振動(毎時2万8800振動)のダブルトゥールビヨン。トゥールビヨンの稼働はエネルギーを使うため、通常は5〜6振動であることが多いが、あえてハイビートを採用して精度向上を図った。同時にケージのサイズを16.2mmの大型に設計したことで安定した精度が持続する。
一方、トルクを補うために約60時間パワーリザーブを備える4個の香箱を機構内に並列して設置。これら4 バレルから集まるトルクをバランスよく分配するよう、ディファレンシャルギアの特許機構を採用した。さらにディファレンシャルギアに3つ、トゥールビヨンに2つの計5つのボールベアリング機構を取り入れ、軸受けに摩擦の少ないセラミックパーツを用いたことでエネルギーロスも軽減。また、ディファレンシャルギアの働きによって2基のトゥールビヨン精度の平均値が示されるので、クストスの象徴の三又秒針も正確な時間表示に貢献する。
このモデルにはサファイアセッティングのないシンプルなタイプもラインナップ。独自の技術を駆使して最高レベルの時計精度を追求した超複雑系のラグスポが、多彩なデザインで味わえる。