「Watches & Wonders 2024」から識者が注目作を徹底討論
今、所有すべき新作腕時計の真実
2024年4月、スイス・ジュネーブで開催された世界最大の高級時計の見本市「Watches & Wonders Geneva」。そこで発表された最新モデルを中心に、時計の賢者たちが今買うべき1本を徹底討論。
上品さを湛えるゴールドウォッチをつけこなそう
日本人はもっと金時計を評価すべき？
岡村 オーデマ ピゲがファッションブランドとコラボして、完全に「振り切った」イエローゴールドの新作を出したり、新素材のサンドゴールドを発表したりと、このところ金無垢時計のパワーを感じます。これまで、金無垢っていう響きが正直苦手だったんですけど、ガラリとイメージが変わりました。一周回って「シン・ゴールドウォッチ時代」に、突入したような気がします。
市塚 金時計自体は、いつの時代も美しく、なんの罪もありません。それを好むギラギラなオジサンの問題ですね（笑）。
上野 ゴールドウォッチに対して消極的なのは、日本市場の特徴かもしれません。欧米では、ネガティブなイメージは全くありませんから。その感覚を持ち合わせている国際的なお客様は、ウチのショップでも、なんの抵抗もなくゴールドウォッチを選ばれていきます。むしろゴールドウォッチの方が人気です。
市塚 誰かに見せるためのゴールドウォッチではなく、自分が好きで満足して選んでいるなら、自然と嫌味に見えないのかも。それにしても、年々ゴールドが高くなっていませんか？
上野 これから先「もう金の価値が下がることはないだろう」ということで、ゴールドウォッチを選ばれる方も多いです。しかも円安で、日本が一番、お求めやすくなっていたりしますから。
岡村 よく「アガり時計に、いつかはゴールド」って、聞くじゃないですか。でもね、アガるって、いつまで待つのって思っちゃう。だって、昨今の金相場を考えれば、待っても待っても、永遠にアガれませんから！
上野 今だったら、ステンレススティールのスポーツモデルであっても、クロノグラフだったら100万円を軽々と超え、200万円近いものも多いですよね。そうすると、シンプルで長く使えるゴールドウォッチという選択権もアリだと思います。
市塚 ゴールドウォッチに興味があるけど、なかなか決断できないなら、控え目ゴージャスな「黒金」もおすすめです。
伊勢丹新宿店 時計バイヤー
上野翔太さん
2008年伊勢丹入社。入社時は婦人服を担当し、2009年より宝飾時計領域を担当。ブランドや技術の発掘を精力的に行っており、国内外の見本市やブランドの工場・工房を多く訪問。
時計ジャーナリスト
岡村佳代さん
学生時代から執筆活動を開始。女性向けの本格時計のムック製作をきっかけに機械式時計の魅力に開眼。世界での取材経験は業界屈指。メンズ時計を語れる稀有な存在としても活躍中。
『時計Begin』編集
市塚忠義さん
雑誌『Begin』からスピンオフした時計専門誌『時計Begin』の編集に創刊時から携わる初期メンバー。スイスやドイツを代表する老舗ブランドの工房ファクトリー訪問は、ほぼ全制覇したとか。
［MEN’S EX Summer 2024の記事を再構成］
※表示価格は税込み。
