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ガスケットを不要とした世界初のノーリングテクノロジー
130年の防水の歴史を覆す外装のコンプリケーション
エリック・モーロンとクリストフ・ミュジーにより、2013年に設立されたモーロン・ミュジー。彼らを一躍有名にしたのは2015年発表の「nO-Ring®テクノロジー」である。ご存知のように時計のリューズとケース周りには、“Oリング”と呼ばれるガスケットを配して防水性を維持している。1885年の発明以来、長く時計に使われてきたこの樹脂パーツの耐久性や効率に疑問を感じた2人は、精密機械工学の経験を活かし、3年にわたる研究開発のすえ、ガスケットを使わない独自の防水システムを開発したのだ。
モーロン・ミュジーのnO-Ring®テクノロジーを簡単に説明すると、強固なボルトを使って2つの部分を固定する機械的かつ直接的なシーリング技術となる。これはダム・タービンや原子炉など、高度な装置に使用される技術を応用したものであり、個体同士を完全に密着させることで、防水材を用いなくても高い密閉性と耐水性が実現するわけである。
具体的には、まず、リューズは巻真と内部のベアリングをナノメートル単位で完全にフィットさせ、ガスケット不要のリューズ機構を実現。独自ケース構造の「クランプ・ブレイス」は、2つの半円形と4つのスプリング作用をもつパーツからなるミドルケースにより、風防と裏蓋を固定する。また「サテライト・コンプレッション・スプリング」は、ドーム型リングでケース表裏のサファイアクリスタルを密着させて防水性を高めている。
これら独自技術を網羅した「アルミュールMU3」は、ガスケットをひとつも使うことなく300m防水を確保。ラ・ジュー・ペレと共同開発した自社製Cal.MM01もしっかり水から守られ、さらには5年間メンテナンスフリーの保証も付く。もちろんメンテナンスの際にガスケットを交換する手間も不要。これはもはや外装のコンプリケーションといえるだろう。
この機構が凄い!
【Point 1】
ガスケット不要のリューズ機構リューズに独自の「nO-Ring®テクノロジー」を採用。ケースにねじ込まれたベアリング内で回転する巻真を、強く締められたボルトで固定することにより、ナノメートル単位で正確にフィットさせる。これにより通常リューズ機構内に用いるガスケットは使わずに済む。
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【Point 1】
ガスケット不要のリューズ機構
リューズに独自の「nO-Ring®テクノロジー」を採用。ケースにねじ込まれたベアリング内で回転する巻真を、強く締められたボルトで固定することにより、ナノメートル単位で正確にフィットさせる。これにより通常リューズ機構内に用いるガスケットは使わずに済む。
【Point 2】
独自のケース構造クランプ・ブレイスケースと風防・裏蓋の結合には独自開発の「クランプ・ブレイス」を使用。サファイアクリスタルとケースバックは、2つの半円状パーツで構成されるベゼルと、スプリング機構の4つのパーツからなるミドルケースで固定。ここにもガスケットは使われていない。
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【Point 2】
独自のケース構造クランプ・ブレイス
ケースと風防・裏蓋の結合には独自開発の「クランプ・ブレイス」を使用。サファイアクリスタルとケースバックは、2つの半円状パーツで構成されるベゼルと、スプリング機構の4つのパーツからなるミドルケースで固定。ここにもガスケットは使われていない。
【Point 3】
サテライト・コンプレッション・スプリング独自のドーム型リングを活用した「サテライト・コンプレッション・スプリング」。サファイアクリスタル製の風防とケースバックにドーム型リングを取り付け、390ニュートンもの垂直方向の圧力により、ガスケットや接着剤を使用せずに完全な耐水性を確保した。
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【Point 3】
サテライト・コンプレッション・スプリング
独自のドーム型リングを活用した「サテライト・コンプレッション・スプリング」。サファイアクリスタル製の風防とケースバックにドーム型リングを取り付け、390ニュートンもの垂直方向の圧力により、ガスケットや接着剤を使用せずに完全な耐水性を確保した。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です