半世紀以上の時を経て、ヴァレクストラのトリックトラックはどう進化した?

bool(false)

ロングセラーの今を読み解く
ITALIAN LUXURY イタリアの贅沢名品

誰しも憧れるイタリアを代表するラグジュアリーブランドの名品。長く愛されてきたそれらの逸品が今、様々な進化を遂げている。ブランドの哲学を体現するアイコニックな名品たちの現在を覗いてみよう。

VALEXTRA
ヴァレクストラのトリックトラック

ブランドを象徴する名作には、モノ作りのこだわりや美学が込められている。今の時代にふさわしい新たな価値を宿したロングセラー鞄。日常生活に寄り添う利便性と一流の品格を体感してほしい。

ヴァレクストラのトリックトラック
31万1300円(ヴァレクストラ ジャパン)

半世紀以上の時を経て進化した身体に寄り添う“小箱鞄”

「ヴァレクストラ」と言えば、クラシックなブリーフケースを筆頭に、その長きにわたる歴史の中で名品を数多くラインナップするブランドだ。ボックス型のフォルムが独創的な「トリックトラック」と呼ばれるこちらのミニ鞄もヴァレクストラの創業者、ジョバンニ・フォンタナにより1968年に設計されたマスターピースの一つなのだ。

聞けば、1968年当時、ロンドンのタクシー運転手たちが、鍵やコイン、レシートを出し入れするために使った小箱にヒントを得て作られた鞄という。その革新的なフォルムと機能性が、1960年代後半から’70年代にかけての華やかな時代を謳歌した紳士たちの間で大きな話題を呼び、以降、ヴァレクストラが打ち出す最先端でありながら独創的なスタイルの象徴として、素材や色、サイズを変えながら今日まで長く愛され続け、受け継がれてきた。

そんなヘリテージが、レザーの持つしなやかさを活かしたユニークな開口部のデザインはそのままに、着脱可能なショルダーストラップを組み合わせることで、ハンドキャリーはもちろん、クロスキャリーも可能なアイテムとして生まれ変わった。素材にはヴァレクストラらしい、滑らかで手触りの良いソフトカーフが用いられたことで、ボックス型でありながらも優美なフォルムが表現されている。

さらに、ブランドのアイコンとも言える精緻なコバの仕上げについても、独自の染料「コスタ」を使いながら、熟練職人が手作業で何層にも塗り重ねて磨き上げるなど、精錬したクラフツマンシップを随所に見て取ることができる。両手がフリーになり身軽に動けるボディバッグとしての機能が付加されたことで、休日のちょっとした外出はもちろん、アクティブシーンにもふさわしい利便性を手に入れた。

ヴァレクストラのトリックトラック
仕切りのないシンプルな内装にはシリアル番号が刻印される。縦17×横13×マチ9cm。

手ぶら派やアクティブ派の休日バッグとして、あるいは、今やリモートワークが恒常化し、手荷物が少なくなったウィークデーにおいても頼りになる存在になりそう。伝統とはまさに革新の連続。オン・オフの境界が曖昧になった今の時代にこそフィットする新定番といえそうだ。

関連記事: イタリアの贅沢名品



[MEN’S EX Autumn 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み

2025

VOL.345

Spring

  1. 1
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
  • Facebook
  • X
  • Instagram
  • YouTube
  • Facebook
  • X
  • Instagram
  • YouTube
pagetop