スモークサファイアグラスからグラコンの“前部”を魅せる
3大複雑機構を統合したメゾン渾身の超大作
2023年6月10日~25日、東京・新宿住友ビルの三角広場にてパテック フィリップの「ウォッチアート・グランド・エキシビション」が開催された。広大な会場には500点を超える展示品が集められ、芸術的時計を生み出すメゾンの過去と現在とを紹介。現行モデルのすべてが一堂に会したのは国内では稀だ。中でもミニッツリピーター搭載機だけを集めた特別ルームは、まさに圧巻であった。このモデルも、その特別ブースに展示された1つ。ケース左側にあるスライダーが、ミニッツリピーター搭載の証だ。
ブラック・グラデーションのメタリックブルー・サファイアクリスタル製ダイヤルに透かし見せるのは、48ヶ月カムを用いた伝統的な永久カレンダー機構。月・閏年・曜日は窓表示とし、ポインターデイトは、ムーンフェイズを長期間針が隠さぬようレトログラード式とした。
搭載するのは、Cal.R TO 27 PS QR。キャリバー名にあるTOは、トゥールビヨンを示す。そしてキーパーツであるテンプと脱進機のオイルがUVで劣化することを嫌うパテック フィリップは、トゥールビヨンを裏蓋側に隠すことを定石としてきた。サファイアクリスタル・バックでは、巨大なトゥールビヨンキャリッジ駆動車の存在が、実に印象的である。リムを曲線としたのは、スリムにしても強度が得られる機能美。そして12時位置のゴールドのカラトラバマークの下には、慣性モーメントを利用し、ミニッツリピーターの時打ち速度を無音で調速して音色を邪魔しない遠心ガバナーが潜む。
ミニッツリピーターは、オーソドックスな2ゴング式。そのゴングは、ムーブメント外周とほぼ同じ長さのクラシックゴングを採用する。専用のマイスターが、ゴングの幅や長さ、ハンマーのスプリング強度などを入念に調整し、耳に心地よく、澄んだ美しい音色が時を知らせる。
この機構が凄い!

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