高い=高級ではない! 名⾨スイス製からお馴染み国産時計まで、30万円以下*で買える傑作時計150本超を掲載した絶賛発売中のムック『U(アンダー)30万円で一生使える傑作腕時計150』。その中身をピックアップしてご紹介。
*税抜き・2022年9月現在
【注目のU30万円モデル】
セイコー プレザージュ クラフツマンシップシリーズ 有田焼ダイヤルモデル SARX095
SEIKO(セイコー)
日本の伝統技術を世界に発信する白磁の立体的有田焼ダイヤル
100年を超える時計作りの伝統を受け継ぎ、世界に向けて日本の美意識を発信するセイコー プレザージュ。すべてのモデルで自社開発の機械式ムーブメントを搭載し、高品質な製品を良心的価格で提供することにより、国内外で存在感を高めている。なかでも注目は、琺瑯や漆、七宝(エナメル)といった日本伝統の素材を文字盤に使った「クラフツマンシップシリーズ」だ。新作は、やはり日本が世界に誇る伝統工芸の「有田焼」を取り入れた1本となる。
有田焼とは、佐賀県有田町と周辺地域で製造される磁器のことを指し、積み出しが伊万里港から行われていたことから伊万里焼とも呼ばれる。その製造は17世紀初期に始まり、製造時期や様式によって初期伊万里、古九谷様式、柿右衛門様式、金襴手などに分けられる。17世紀半ば以降は海外にも輸出され、ヨーロッパ各国や中東でも高い人気を博した。ドイツの名窯マイセンにも影響を与え、王侯貴族のコレクションも数多く残る。
そんな有田焼ダイヤルモデルだが、素材本来のままでは文字盤としての耐久性に欠けるため、セイコーが独自に開発した特殊な磁器素材を採用。これにより従来の4倍を超える強度をもたせることに成功した。白磁製の文字盤にわずか1mm程度の範囲で微妙な高低差を設け、釉薬で仕上げた磁器特有のやわらかい湾曲が、艶やかな光沢と陰影を演出する。またインデックスは、有田焼を象徴する染付の藍色を表現したディープブルー。透き通る白磁に鮮やかな彩りを加えている。
この有田焼ダイヤルを監修したのは、「しん窯」の陶工・橋口博之氏。洗練されたデザインと優れた絵付け技術で高い評価を得る有田焼の伝統工芸士である。他のプレザージュ同様、内部には自社製の自動巻きムーブメントを搭載。これをU20万円で手に入れる喜びは非常に大きい。
プレザージュはすべてのモデルで機械式を採用
搭載するのはキャリバー6R31。6R35から日付表示を取り除いたベーシック機で、70時間パワーリザーブを確保。ケース裏のシースルーバックを通し、その精緻な姿が観賞できる。