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中井貴一さん & 松山ケンイチさん
【中井さん】ジャケット36万3000円、ニット12万6500円、チーフ2万9700円、パンツ7万9200円、ベルト34万6500円、靴13万7500円/以上ブルネロ クチネリ(ブルネロ クチネリ ジャパン)
【松山さん】ジャケット88万円、パンツ10万4500円、シャツ、タイ、チーフ、ベルト〈以上参考商品〉/以上ブリオーニ(ブリオーニ クライアントサービス) その他〈スタイリスト私物〉

サステナブルなライフスタイルを実践しながら

――松山さんは数年前から東京と田舎との二拠点生活を始めたとか?

松山 そうなんです。だから貴一さんにも「今、俳優だけじゃなくて、この時期は畑をやってまして」とお話をして。共通の知り合いからその話は耳にされていたようですが……。

中井 最初に松山君とご一緒したときに言ったと思うけど、絶対に地方のなまりを直さないでくれって。役の中で当然直さなきゃいけないときはあるだろうけど、ふだん共通語にする必要はない。それが松山ケンイチのアイデンティティなんだって。だから畑仕事の話を聞いても、全く違和感がなかった。役者の仕事でスケジュールが詰まってて、じゃなくて、農作業で忙しくて、という彼でいてくれていることが嬉しかったかな。

「子どもに台詞を覚えている後ろ姿でなく新しい発見を見せていきたい」
――松山さん

 
松山ケンイチさん

松山 子どもの頃、畑をやっている祖父母に預けられることが多くて、よく畑にいる生活をしていたんです。今、こういう年代になって、東京に住み続けるよりも、もっとやりたいことをやる人生のほうがいいんじゃないかと。それと、子どもに自分が台詞を覚えている後ろ姿しか見せられないのはちょっといやだなと思って。そういった生活も、きちんと見せたいなという思いが出てきました。もちろんその中で見えてくる問題もあります。そのひとつが革の話。ずっとスーパーにある肉の背景を知りたくて、ハンターの知り合いについて行って、肉って命だったんだということを、いちから知ることができた。その体験がきっかけで、ハンティングも始めました。畑の野菜を食い荒らすシカやイノシシなどの有害獣駆除作業を行っていますが、肉は食べてもシカの皮は食べられなくて、捨てられていたんです。これで何かができないかなと思い、なめして加工品を作ることや、革の卸を始めました。アウターや革小物、バッグなど。まだ試作の段階ですが。

――是非、今度拝見したいです! 松山さんは田舎での生活になって、着るものの選択も変わりましたか?

松山 以前はチャップリンが好きで、極端に小さいサイズのジャケットとズボンのセットアップを、海外へ行った時にテーラーで作ったりしていました。今は、どんな素材を使っているのか、そのブランドの背景にはどういったものがあるのかを意識して、オーガニックなものを着たり、買ったりするようになりましたね。100年着て欲しいという理念を持っているブランドもあるじゃないですか。そういう世界観が素敵だなと思うんですよね。

中井 最近、サステナブルってよく言いますよね。それを掲げることは問題提起として決して悪くないけれど、それが産業だけになっていくのはどうなのか、本当の意味を分かっているのかなって思うんです。無駄になっているものを再利用することこそサステナブルで、彼はそういう世の中のあり方を考えてる。田舎で生活して、楽しい部分と、その半面すごく大変なことを感じる瞬間があると思うんです。でも、今の世の中で必要なものだから貫いて欲しいですね。



『大河への道』

「大河への道」
©2022「大河への道」フィルムパートナーズ

日本初の地図を作った伊能忠敬を主人公とする大河ドラマ実現のためのプロジェクトが、出身地・千葉県香取市で立ち上がる。市役所総務課主任・池本(中井貴一)は、部下の木下(松山ケンイチ)とともに動き出すが、地図の完成3年前に伊能が没していることが判明し、ドタバタが始まる。現代と伊能忠敬没後の江戸時代とが交錯し、キャスト全員が二役を演じる歴史発見エンタテインメント。共演に北川景子、橋爪 功ほか。5月20日全国公開。




中井貴一 KIICHI NAKAI
1961年東京生まれ。戦後の名優、佐田啓二を父に持つ。’81年『連合艦隊』で映画デビュー。俳優として常に第一線で活躍。映画、テレビドラマ、舞台、CMに加え、NHK『サラメシ』のナレーション、M.E.誌上での連載『好貴心』も大好評を博した。大河ドラマでは’88年『武田信玄』に主演。今回の映画での地味なジャンパー姿とは裏腹、芸能界きってのファッショニスタでもある。

松山ケンイチ KENICHI MATSUYAMA
1985年青森県生まれ。2001年オーディションでグランプリを獲得し芸能活動をスタート。’02年俳優デビュー、’06年映画『デスノート』シリーズのL役で注目を集める。大河ドラマでは’12年の『平清盛』に主演。’18年頃から東京と地方との二拠点生活を続けている。



[MEN’S EX Spring 2022の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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