スーツ大賞2021 オーダーの際にも参考になる
【ファブリック スーツ大賞】Fabric Suits Award
ここ数年英国調の生地が人気だったが、コロナ禍以降、ユーザーの選ぶ生地に微妙な変化が起きているようだ。ここで選出された4着もそれを反映したもの。それぞれのスーツをよく知る方々をお招きし、最旬生地トレンドについて語り合っていただいた。
HIDEAKI SATO(ヒデアキ サトウ)
( Fabric )ドラッパーズの「ブラゾンスーパー150’s」
“渾身の一着と思わせてくれる生地です”
――山浦さん
「丸みを帯びた美しいフォルムを描く佐藤氏ならではの型紙に、ドラッパーズのブラゾンスーパー150’sを載せた一着。この生地は高級原毛ならではの光沢や滑らかなタッチを堪能できながら、経緯双糸使いによりハリコシもしっかりとある。見た目の高級感も高く、渾身のスーツを仕立てたい人に受けています」(山浦さん)。34万1000円〈オーダー価格〉(日本橋三越本店)
KYOTO BESPOKE(京都ビスポーク)
( Fabric )ドーメルの「アマデウス」
“カントリーなブラウンがドーメルで都会顔に”
――篠塚さん
「総毛芯仕立て&国内縫製を基本とする同店のオーダースーツに、アマデウスを合わせています。茶は一歩間違えるとカジュアルなイメージが強くなりますが、この生地はシャイニーフィニッシュにより華やかな場面もこなすバランス。それでいてしっかりした打ち込みにより普段のビジネスでも安心して着用できます」(篠塚さん)。10万7800円〈オーダー価格〉(京都ビスポーク 京都本店)
橋本 クラシック回帰で英国生地のトレンドが続きましたが、最近は少し状況が変わってきたようですね。
津田 光沢があって柔らか、そして少し明るい色目の生地提案が増えています。これはコロナの影響かもしれません。着ることで気分が明るくなる生地の需要が高まっている。
山浦 アワード選出スーツで言うと、ドラッパーズの“ブラゾンスーパー150’s”や、ドーメルの“アマデウス”がそうですよね。こういう柔らかでリッチな生地が売れている。
橋本 ともに経緯双糸のため程よいハリがあり、仕立て映えもしますね。
篠塚 華やかさや快適さがありながら、ちゃんと仕立て映えする生地というのがこれからの時代は大切なのかもしれませんね。
事前アンケートを元に、編集部がピックアップした本アワード受賞スーツのことをよく知る3名にお集まりいただき、生地にフォーカスした座談会を行った。
Profile
[中央左]リングヂャケットマイスター 206青山店 スタッフ兼プレス
津田京樹さん
国産スーツの最高峰であるリングヂャケットにて、青山店で店頭に立ちつつプレス業も兼任。既製服からオーダーフィッティングまで豊富な知識と経験を有する津田さん。
[中央右]日本橋三越本店 紳士服オーダーバイヤー
山浦勇樹さん
日本橋三越本店のメンズ部門のバイヤーにしてオーダー部門を統括する山浦さん。
[右]Y&Mコミュニケーションズ PRマネージャー
篠塚 剛さん
日本のメンズスーツに特化したアタッシュドプレス「Y&Mコミュニケーションズ」のPRマネージャーとして活躍する篠塚さん。
[左]編集部
橋本慎司
司会を担当した編集部・橋本。小誌では生地特集を手掛けることも。
[MEN’S EX Winter 2022の記事を再構成]
※表示価格は税込み