EV化が進むほど、デザインの役割が大きくなっていく

「Audi grandsphere concept」は、全長5.35m、全幅2m、全高1.39mmというラージサイズのEVセダン。ホイールベースは3.19mmと現行のフラッグシップセダンであるA8のロングホイールベースバージョンも上回るもの。Bピラーはなく観音開きのドアを採用。ドライバーを認識し自動でドアを開いて車内へと迎え入れる。

レベル4の自動運転を備えており、オーナーの現在地情報を取得して、迎えにきたり駐車や充電を自動で行う。自動運転モードでは、ステアリングホイールとペダル類が格納され、ディスプレイが消えて、インテリアが広々とした体験空間へと変化するという。


ウッドやウールを用いたナチュラルカラーのインテリアには、メーターパネルなどいわゆる黒いスクリーンはなく、自動運転モードでは“デジタルデトックス”を実現。運転機能を起動すると、ディスプレイなどがあらわれる仕組みになっている。
パワートレインは、EV専用に開発されたプラットフォーム、PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)に容量120kWhのバッテリーを搭載。前後アクスルにモーターを配置するクワトロ4輪駆動システムだ。システム総合出力は530kW、最大トルクは960Nmを発揮する。

現在、VWグループとしてソフトウェア開発を担う小会社CARIAD(カリアッド)設立。VWグループの全ブランドを横断する標準化されたOSを活用し、クラウド接続を前提とした大規模なソフトウェアプラットフォームを2025年までに開発し、2020年代後半にはレベル4の自動運転をはじめとするデジタルイノベーションを実現していくという。

また”sphere”コンセプトカーに採用されているデザインは、数年後のアウディモデルに再現されていくという。電動化が進めば進むほど、デザインがもつ役割は大きくなっていくはずだ。Audi skysphereとgrandsphere にはそう遠くない未来が見えるようだ。
文=藤野太一 写真=アウディ ジャパン 編集=iconic