店頭でされる生地の話がわからない
織りの基本3種をまず覚えよう
スーツ用の生地は平織りと綾織りが主流でわずかに朱子織りが存在する。まずは生地を理解するための第一歩である、織りの種類を覚えよう。
[平織り]
最もベーシック
経(タテ)糸、緯(ヨコ)糸交互に織られる最も基本の組織。コストパフォーマンスに優れるほか、凹凸が出にくいため光沢が抑えられる。最近は組織を複雑にし味のある表情を演出する手法がトレンドだ。
[綾織り]
高密度に打ち込める
平織りの単調な組織とは異なり、斜めに組織点(表に出る目)が並ぶように織り上げた組織。生地に凹凸が生まれるため平織りよりも光沢感が強まり、また糸を高密度に打ち込めるため、強度を持たせやすい。
[朱子織り]
光沢が際立つ
経糸5本以上、緯糸5本以上を用いながら、組織点が隣合わないように、一定間隔で飛ばして織られる組織のこと。手触りが滑らかで光沢感に富むのが大きな特徴だ。サテンもこの織りによるもの。
“番手”とか“プライ”って何?
糸はこの5ワードを覚えよう
生地のなかでも最も難しそうな専門用語が頻出するのが糸についてだが、この5ワードがわかれば、糸の基本知識は、もう押さえたも同然だ。
[スーパー表記]とは?
羊毛の品質を表すが油断は禁物
例えばスーパー100’sは「原毛1kgあたりで100kmまで糸を伸ばせる」ことを指す(繊維の直径が小さいほど価格が高い)。実際の生地感は番手次第で、数値が大きい=繊細で弱いとは限らないので注意。
[番手]とは?
生地に使われる糸の太さのこと
羊毛糸の番手は、1kgあたり1kmの長さにできるものを1番手とする。1kgあたり60kmの長さにできれば60番手。すなわち、数値が大きければ大きいほど細い糸になり、繊細な質感となる。
[打ち込み]とは?
生地の糸の密度
一定の面積に織り込まれた糸の本数が多ければ、その組織は本数が少ないものよりも密となり、ハリコシが強くなる。打ち込みのよさはすなわち、仕立て映えへと繋がるのだ。
[撚り]で何が変わる?
[強撚]
強撚糸は糸を密に打ち込まなくてもハリコシが出せるため、通気性のよい生地が作れる。また復元性に優れるため、シワになりにくい。
[並撚り]
強撚糸は機能的なメリットが多いが、繊細なタッチを求めるのには向かない。その点、並撚りの糸はバランスが取れた生地が作れる。
[プライ]とは?
何本の糸を撚り合わせているかの値
例えば、2プライといえば2本の糸を撚り合わせた糸で織られた生地をいう。一般に撚り本数が多くなるほどかさ高が増し、ハリコシが強い生地となる。耐シワ性や通気性も良い。
目付で何が変わる?
生地の耐久性や着心地が変わる
目付(めつけ)は反物1mあたりの重さを指し(1平方メートルで計算することも)、季節感というより着心地の軽さや強度を測る目安になる。ビジネスシーンで着るなら極端なものは避けたい。
季節ごとの最適な生地がわからない
こちらの図表を参考にしよう
涼感や保湿性といった実用面だけでなく、その季節に沿う風合いかどうかも生地選びには重要だ。図の中央は、季節を問わず着やすい生地、周囲は季節感の強い生地を配置した。
[MEN’S EX Summer 2021の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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