前身とされるヘビーデューティモデルは第2次世界大戦以前にラインナップされていたが、ゲレンデヴァーゲンが登場するまでに間が開いていることもあり、直接的な系譜として繋げるには少々無理がある。
いずれにしても、デビュー当初は今のようなラグジュアリーは想定しておらず、質実剛健にターゲットを絞っていたし、開発担当も商用車部門という区別がされていた。
言うまでもなく、オフロード走破性を極めるためのハードウェア採用を前提とし、ラダーフレーム、パートタイム4WD、前後リジッドサスペンションといった、トラックライクな実用一辺倒の内容となっていた。乗り味も、もちろん商用車的だが、道なき道を進んでいく最適解といわんばかりの設えは、オールマイティさも備えていた。
ところが、メルセデス・ベンツブランドの一員として目を付けられ、生産しやすくグランドクリアランスを確保するためにシンプルにしたフォルムが、ほかの乗用車やラウンドフォルムが流行していたSUVと比べ、新鮮さを感じさせたこともあり、稀有な存在として注目を浴びることになる。しかし、Vクラスがいくら手直しをしてもラグジュアリーを極め切れないのと同様に、いや、それ以上に、Gクラスは頑なにデビュー当初のコンセプトを貫きとおしていた。
しかし、マーケットが求めるのはもはや実用車ではなく、メルセデス・ベンツのスゴイヨンクだ。その期待に応えようと1990年にW463型をリリースする。
インテリアはずいぶんと乗用車的になったが、基本設計は旧来と大きく変わっていない。フルタイム4WDの採用がトピックとして挙げられる程度で、走りについての評価は激変と言われるまでには変わっていなかった。