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「“正しいは楽しい”をキーワードに。ようやく世界に展開できる、スタートラインに立った」──岩元美智彦さん

サステナブル社会の実現という待ったなしの課題に最前線で取り組む企業のトップというイメージと裏腹、終始笑顔を絶やさずインタビューに応じてくれた岩元美智彦さん。日本環境設計の始まりのエピソードも実に楽しげに語ってくれた。

「異業種交流会で出会った髙尾正樹(日本環境設計現社長)と意気投合し、そのまま立ち飲みの居酒屋へ。化学を専門とする彼に服からバイオエタノールを作れるかと聞いたら、できると。だったらビジネスとして成立すると2人で盛り上がったんです。ビールというエタノールを前にして(笑)。そして髙尾は親から20万円、僕は全財産100万円を出して、会社を立ち上げた。それが今では資本金41億円。自分でもびっくりです(笑)」

同社を代表するリサイクル技術は、着古したポリエステル素材の服をケミカル分解技術で再生原料に変え、再び服として蘇らせるものだ。

ペットボトルをリサイクルして作った服はあるが、“服から服”の循環は国内初。しかもポリエステル100%の服であれば1枚の服から1枚の服を半永久的に再生できるという。

すでにこの技術を使った服を多くのアパレルが扱い、同社も「BRING」というブランドを展開。こちらには古着を回収するキットが付属する。

「提携店舗に古着回収ポストを置いてもらっているのもそうですが、皆さんにリサイクルを“自分ごと”として体験してもらいたいんです。そのためには時に楽しい仕掛けも必要だと考えています。そう、“正しいは楽しい”んです」

極め付きは’15年10月21日、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車“デロリアン”を、全国から集めた古着をリサイクルした燃料で走らせたことだろう。日時も燃料も映画そのままに再現したこのイベントは、海外でも大きく報道された。

それから5年。今では同社の技術に世界が注目し、環境系ベンチャーの中で最大規模の投資を受けるまでに。この9月にはエネルギー分野における技術ライセンス数トップクラスの仏企業と提携した。

「服に限らず、役割を終えたあらゆる“地上資源”を循環させる経済システムを作りたいんです。そうすればCO2の排出も削減できるし、地下資源の争奪戦争も減らすことができるかもしれない。もちろんこの循環はグローバルで行わなければなりませんが、今ようやくそのスタートラインに立てた。見ててください。ここから一気に加速していきますよ」

服から服を無限に再生可能風合いも自在に変えられる

服から服を無限に再生可能風合いも自在に変えられる

同社ではポリエステルの分子構造を解いてから不純物を取り除き、再度構造を繋ぎ合わせる化学的なリサイクル技術を用いる。1枚のポリエステル素材の服から1枚の服を作るに足る繊維を無限に再生でき、風合いも自在に変えられる。

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