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「ベーシックウェアでありながら、玄人が好むスーツです」
(中村さん)

ライトグレースーツ
こちらの素材はイタリア製のウール・シルク・カシミア三者混。軽やかさに加え、しっとりとした滑らかさを備えていて非常にラグジュアリーな雰囲気が魅力だ。

M.E. グレーの無地スーツというと紺無地に並ぶ基本の“き”という印象がありますが、最近はチェックなどの柄ものが主流だっただけに、こうしてフィーチャーするのは久々に感じますね。

中村 おっしゃるとおり、トピックとして取り上げるのはかなり久しぶりです。今季はグレーという色自体がキーカラーとして注目されているので、それが背景になっていますね。なかでも、濃いトーンではなくライトグレーのスーツがこの秋冬のおすすめです。

西口 同じライトグレースーツでも素材によってかなり印象は違ってきますが、秋冬ならではの一着というと、やはりフランネルが代表格になってくるでしょう。ほかにはクラシックなシャークスキンなどもいいですね。

M.E. グレーフラノスーツというと、やはりブリティッシュなイメージが強いアイテムなのでしょうか?

中村 無地に関しては、 “昔のイギリス人”というイメージですね。イタリア人はあまり着ていないように感じます。あとは、’30〜’50年代のハリウッドスターが着ている姿も、当時の映画の中で数多く見ることができます。私がビームスに入社した’80年代には往年のハリウッドスター的スタイルが好きな先輩がたくさんいて、彼らはみな愛用していましたね。今でもスタッフからの人気は高いアイテムなのですが、お客様にとっては少々敷居が高く感じられるようで、’90年代以降は大々的に打ち出すことはありませんでした。

西口 実は、お店からは毎年のように“がっつり展開してください!”というリクエストが来るんですけどね。

「個人的にも永遠に憧れる、“いい大人”のスーツ」
(西口さん)

中村 つまり、“ファッション関係者から見てお洒落なスーツ”という位置づけなんですよね。ベーシックなアイテムなのですが、玄人感もあるという。イタリアには「フラネッラ グリージャ」(英語で“グレーフランネル”)というブランドがありますが、ブランド名に掲げられるくらい、クラシックファッションにとってエッセンシャルなアイテムであるといえるでしょう。

西口 永遠の憧れ的なイメージがありますよね。ビジネスウェアではないスーツを考えるとき、ひとつの究極的な存在になってくると思います。

M.E. ところで、玄人の方々からは“フラノはヘビーウエイトに限る”という話も聞きますが、今の基準で考えるとどうなのでしょうか?

中村 服好きの方々がウエイトのあるフランネルを好む傾向にあるのは事実です。ただ、それが絶対的な正解ではありません。軽く柔らかいフランネルならではの魅力というものもあります。着心地の軽快さはもちろん、ドレープの表情などもライトウエイト特有の美しさがありますからね。

西口 重厚でクラシックなイメージが好きならヘビーウエイトを、軽やかでラグジュアリーな雰囲気が好きならライトウエイトを、というように、好みに応じて選ぶのが正しいですね。

中村 ステレオタイプ的な価値観はもう過去のものです。今は選択肢が多彩に広がる時代ですから、それらを楽しむことが大切というわけですね。

M.E. なるほど、勉強になります。

西口 個人的に、ライトグレースーツは“いい大人の服”というイメージです。年齢を重ねた大人の男性にこそ楽しんでいただきたいアイテムですね。

※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年12月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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