ビジネスエグゼクティブのこのスーツ、この装い
時流の変化を敏感に感じ、対応を迫られる組織のトップ。働き方の変化、取引先・お客様のドレスコードも変わりゆく今において、スーツを選ぶ意思を持つお二人に話を聞いた。「それでもやっぱりスーツ」の理由とは。
パレスホテル東京 専務取締役・総支配人
渡部 勝さん(56)× グレーストライプスーツ

基本は変えず、時代の感覚を少しずつ取り入れる
「入社当時は、英国系のスーツが好きでしたが、時代とともにイタリア系の柔らかなものも取り入れてきました。正しいサイズ感をベースに、裾幅やシルエットなどは時流も取り入れます。誰も気づかないのですが(笑)」。スーツはナポリの「Gabo」のもの。
Profile
早稲田大学卒業。1987年パレスホテル入社。2012年、パレスホテル東京 総支配人に就任。‘16年から5年連続して5つ星を獲得している。

「自分のルールを守りながら、少しずつアレンジを楽しみます」
年間360日ほどはスーツでしょうか。と笑いながら話す渡部さん。きちっと整ったスーツには果たしてどんな意図があるのか。
「スーツを着るということに対して、特別な意思を持ってそうしているかというと、それはないかもしれません。ホテリエとして当然のこととして、着ています。私にとっては、お客様との距離感や立ち位置を測るツール。私がホテルのロビーに立っていたとして、『あ、この人はホテルの人だな』と分かってもらえる装いであり、かつホテルのイメージを代表して恥ずかしくないスタイルが重要です。我々のホテルは『タイムレス』がテーマ。装いでも、ダークスーツに白シャツ、靴はプレーントウかモンクストラップまで、などお客様を引き立てるための基本の装いをホテルのプロトコルとして設定しています。また立場上、急に起こり得る様々なオケージョンに対応できる着こなしを心掛けています。今日のスタイルも、どこに行っても外さない基本的なスタイル。必要があればタイを一本取り換えれば、もっと華やかな場にも厳かな場にも相応しい着こなしにもできます」
最後に、渡部さんにとってスーツとは?
「スーツは自分に活力を与えてくれます。タイドアップすると落ち着くし、タイをすると暑くても汗が止まります(笑)」