
ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さんが所有する貴重なお宝服の中から、ウンチク満載なアイテムを連載形式で紹介する新連載「中村アーカイブ」がスタート! 「ベーシックな服もアップデートされていくので、何十年も着続けられる服は意外と少ない」という中村さんだが、自身のファッション史の中で思い出深く、捨てられずに保管してあるアイテムも結構あるのだとか。そんなお宝服の第11弾は……?

【中村アーカイブ】 vol.11 /キングスウッドのショーツ

1987年に購入したショーツです。今では真夏でもほとんどショーツは穿きませんが、20代の頃は結構穿いていました。 このショーツは、当時ラルフローレンのアメリカ製のチノパンを作っていたファクトリーのもので、このファクトリーでパンツを作らせていた日本のインポーターがキングスウッドというブランドネームで展開していたものです。
’60年代から’70年代まで続いたIVYブームの頃は、ショーツと言えばノープリーツで細身のシルエットで丈も長めのバミューダーショーツが一般的でしたが、’70年代後半から出てきたブリティッシュアメリカンの流れで、’80年代に入るとプリーツの入った太めのシルエットが一般的になり、その流れでショーツもプリーツが入って太目で丈が短いものが一般的になりました。このキングスウッドも初めは2インプリーツのチノパンを展開し、その後同じ2インプリーツでショーツを展開し、とても人気がありました。
当時はショーツを履いてもあまりカジュアルになり過ぎるのはNGだったので、マドラスチェックのボタンダウンやポロシャツなど襟付きのシャツを合わせ、足元はレザーやキャンバスのデッキシューズを合わせたりして、今と違って大人のショーツスタイルに一定のルールがあったように思います。
私自身、フレンチラコステを着て、コールハーンのレザーデッキシューズを合わせてよく穿いていました。サイズも小さくシルエット的にも今穿けるものではないですが、今となっては貴重なアメリカのファクトリー製で、20代の頃気に入って穿いていたものなので、アーカイブ資料として残していこうと思います。