ニューバランスファンの間で聖地といわれる生産地がある。米国、そして英国だ。じつはこの両国の違いは素材選びにあるという。米国は専用ラボを設けて、日夜最先端の技術を研究するなど、同社の進化の中核を担っていることからわかるように、素材も”スポーツ”を感じさせるものが多い。対して英国は、通常スポーツシューズには使われないような、上質なレザーなどを採用しているモデルも多いのが特徴。そんな違いまで味わうのも、ニューバランスならではの楽しみ方なのだ。

英国北西部カンブリア地方・フリンビー。1980年代初頭、かつてノーサンプトンに並ぶ革靴の聖地として知られていたこの地に、同社の英国工場は建設された。革靴作りのノウハウが継承されている土地柄、同工場には元革靴職人たちも多く在籍。革の特性を熟知した職人によって丁寧に吊り込まれた英国製モデルは、ドレス靴を思わせる精緻な造りが特徴だ。

“メイド・イン・UK=細身で上質”を示す象徴
1989年に初の一体成型ミッドソールを採用した同社屈指の人気モデル「M1500」。発売当時は米国製だったが、復刻されてからは長く英国工場にて製作されている。今作は精悍なベージュのワントーンで仕立てられた新作。2万6000円
| 作っているのはこちら |

かのピーター・ラビットが住む地としても有名な、美しい湖水地方にある英国工場。米国工場では基本的にアジア発注の上質革が使われているのに対し、同工場ではドイツやフランス、イタリア等、欧州から厳選した革を調達。なかでも英国で唯一フルグレインレザーを鞣している名門タンナー、ピッタード社とは密な関係を築いている。