ペコラ銀座の佐藤さんが語る「ビスポークの本質」とは——?

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トラッド=伝統とは、すべて先人の積み重ねから生まれるもの。つまりトラッドを知るとは、人の英知の歴史を辿る旅をすることだ。この世には、時間のかかる仕事でしか生みだせない美がある。慌しい日々の中でふと立ち止まり、時の流れに思いを馳せれば、伝統の中にしかない豊かさにふと、気づかされる。

BESPOKE / ビスポーク
服ができるまでの時間を心待ちにする。

ビスポークでスーツを誂える。その本質は、服作りに本来かかる時間の長さを知り生まれてくる一着を長く愛するという、服を慈しむ感覚を取り戻すことにある。



BESPOKE

テーラーでスーツを作る。今や簡単に既製スーツが手に入る時代に、時間とお金をかけてオーダーでスーツを作る意味とは何か。そこには実に奥深いものがある。オーダーする側にとっては採寸、仮縫い、本縫い、調整にかける時間。そしてその裏側ではテーラーや職人が、さらに膨大な時間と手間をかけて作業をしていく。それだけの時間をかけなければ、作れない。それがスーツの本来の姿なのだ。

「一着一着手作業で作り上げるので、想像以上に手間暇がかかります。だからこそ、マシンで大量生産されたスーツにはない匂いや空気感が宿る。確かに時間はかかります。しかし、それはスーツが持つべき、服としての価値を生み出すために必要な長さなのです」。

そう語るのは、ペコラ銀座のオーナーである佐藤氏。ミラノの名匠マリオ・ペコラ氏の下で修業を積んだ、職人中の職人だ。

「作るのに時間がかかる分、直しながら長く着ていただけます。先日も、独立間もない頃に作ったスーツの裏地がダメになったので取り替えてください、というお客さまがいらっしゃいました。できあがった後の長い愉しみを考えていただければ、待つ時間も、決して無駄にはならないと思います」。

単にこだわりのスーツを作るというだけでなく、完成までの時間さえも楽しむ余裕。それは服作りの”伝統”に立ち返る体験であると同時に、そこから生まれる長い愛着への、道程に他ならない。

ペコラ銀座

2000年開業、今や日本のトップテーラーの一つとなった「ペコラ銀座」。そのテーラー佐藤英明氏とM.E.との付き合いは長い。ミラノから帰国した佐藤氏を’96年にいち早く取材し、以来共に成長を続けてきた。手仕事のスーツは時間こそかかるが、そこにはかけた時間以上の価値が宿っている。スーツ35万円〜〈オーダー価格、納期4ヶ月〜〉。


住所:東京都中央区銀座4-3-2 清水ビル3F
TEL:03-3535-6465
営業時間:11時〜19時
定休日:日曜・祝日
http://www.pecoraginza.com



[MEN’S EX2018年05月号の記事を再構成]
撮影/片桐史郎(TROLLEY)、若林武志、岡田ナツ子、長尾真志、村上 健、杉山節夫、大泉省吾、田中新一郎八田政玄、武蔵俊介、久保田彩子 スタイリング/武内雅英(CODE)、宮崎 司(CODE)、佐々木 誠 ヘアメイク/松本 順(辻事務所)、勝間亮平(MASCULIN) 構成・文/伊澤一臣、宮嶋将良(POW-DER) 取材・文/安藤菜穂子、酒向充英 文/長崎義紹(paragraph)、中河由起恵(paragraph)、吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、安岡将文、池田保行(04)、礒村真介 撮影協力/七彩、新宿パークタワー、パークハイアット東京、リュド・ヴィンテージ目白

2024

VOL.341

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