ネイビーにまつわる4つの検証

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結論。やっぱりネイビーは特別な色である!

 この色は印象の良い色である。正式な場面で纏われる事も多い。ネイビーが重宝されるのはなぜか。4名のエキスパートに答えていただいた。

1 歴史: ネイビーは勝利の色


ネイビーにまつわる4つの検証服飾史家 中野香織さん
東京大学・大学院卒。英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て、明治大学国際日本学部特任教授。服飾史のスペシャリストとして活躍。


「かつての英国海軍の栄華が、紺色の価値を高めました」

「ネイビーを含むブルーの色が持つイメージは、西洋文化においても古くから認識されており、調和や協力、勇気、栄光、深い知恵を表すとされてきました。雲のない晴れた空を連想させる色であり、隠すもの(雲)がないということから、真実や純粋さ、知の光も意味します。また、紋章に用いられる時には忠誠、信望、謙譲を象徴しますし、「本当の青は決してけがれない」ということわざもあります。

現在のネイビースーツのルーツとしては、18、19世紀の英国海軍(ロイヤルネイビー)が挙げられます。1748年から同海軍の将校らが着用してきたのが濃紺の軍服。”7つの海を制した”英国海軍の進軍により、強い海軍の勝利のブルーが世界中に広まり、他国の海軍の制服にも採用されていきました。色の象徴の伝統にも則った正統な色として、制服には最適の色だったのではないでしょうか。実際にネイビーが色名となったのは、1840年(オックスフォード英語辞書では1813年より引用がある)とされています。

ビジネススーツは元来、軍服を起源に持ち、男性に威厳を与えます。勝利の色から生まれたネイビーのスーツは、現代において、まさに前に進む男のための制服と言えるかもしれませんね」

2 色彩学: ネイビーは引き立て役


ネイビーにまつわる4つの検証ファッション評論家 黒部和夫さん
カルロインターナショナル代表。一般社団法人 日本流行色協会メンズカラー選定委員でもあり、色の知識に富み、幅広く活躍。


「主張しないという色の特性により、効果的に活用しやすい色なのです」

「色には後退色/進出色と、収縮色/膨張色という、印象に直結する種類分けがあり、ネイビーは”後退色の収縮色”になります。後退色はその言葉通り、後ろへ下がって見える色。この反対が進出色で、赤や黄色など、前に出てくる印象のものです。そして収縮色とは、引き締まって落ち着いて見えるものであり、反対の膨張色の代表は白。

ネイビーにまつわる4つの検証

つまりネイビーはその色の性質上、後ろに控え、締まって落ち着いて見える色。それはまさにビジネスやフォーマルなど、かしこまった場面で重宝される役回りです。講堂など大勢の前で話す場合、紺のスーツに、白シャツ&イエロータイ等を合わせ、前述の後退×進出、収縮×膨張のコントラストを胸元に作ります。そうすると遠くのお客様の視点が、しっかりと自分の顔まわりにフォーカスされるのです。ネイビーのブレない特性を生かして、パワーVゾーンを作るのも効果的な活用術と言えるでしょう」

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