これはびっくり、時計を超えた存在のオブジェ【時計王・松山 猛のBASEL2018】

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バーゼル取材 DAY4

今年も出ました、バーゼルのびっくり箱

バーゼル

ハリー・ウィンストンのブースで取材をしていた時、「もうひとつ凄いものをお見せしましょう」と出てきたのが、メカニカルな装置で自動的にサインをする「プレシャス・シグネチャー・バイ・ハリー・ウィンストン」というオートマタだ。

このオブジェはハリー・ウィンストンと、同じスウォッチグループのジャケ・ドローとのコラボレーションから生まれたアートピースで、アルファベット、漢字、アラビア語、ロシアのキリル文字など、様々な言語の文字をプログラミングできるというものだそうだ。

文字を書く自動人形と言えば、初代ジャケ・ドローが作った『書記』の時代から、連綿と続く自動人形=オートマタの世界だが、これはそのもっとも現代的に進化したバージョンと言えるかもしれない。

さすがハリー・ウィンストンらしく、合計1488個という、ものすごい数のダイヤモンドや、ブルーオパールのプレートで装飾された、ホワイトゴールドのボックスの、この「プレシャス・シグネチャー」と呼ばれるオブジェは、一見すると、豪華なテーブルクロックに見えるのだが、ケースの下部からサインのためのメカニズムを取り出し、ペンを装着してスイッチを入れると、内部の装置が動きだし、するすると音もなくサインを書くのだ。

贅沢ここに極まれり、というほかないこのオブジェのほかにも、今年のバーゼルには時計というものを超えた存在が数々散見できた。

バーゼル
ジェイコブ アストロノミア マエストロ


たとえばジェイコブのアストロミア マエストロは、従来のアストロノミアに、3つのゴングを持つリピーター・カリオン装置を加えて新設計したモデルで、いわば音で時を告げてくれる地球儀とでもいうべきか、半端じゃないアピール度の腕時計である。

シャネルの「ムッシュー ドゥ シャネル」のクロックは、シャネルのシンボルのひとつであるライオン達が支える、球体の中のメカニズム上部の、二分割された半球形が、それぞれ回転することで時・分を表示するというもの。

ライオンの像はブラックPVDされたブロンズ製で、球体はサファイアクリスタルで造られていて、その中にレペ社製の手巻きメカニズムが組み込まれるという、ゴージャスなオブジェとなっている。

バーゼル
ムッシュー ドゥ シャネルのクロック


Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。



撮影・文/松山 猛

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