伊勢志摩で”海女小屋体験”。身体を張って漁をする海女さんに心がムギュッと鷲掴み!

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五感を使って海女文化を体験する

私が訪ねたのは、近鉄志摩線の賢島駅からクルマで30分ほどのところにある「海女小屋体験施設 さとうみ庵」。すぐそこには熊野灘が広がり、ほのかな潮の匂いが鼻をくすぐります。

「海女小屋」とは海女さんが漁で疲れた体を休めたり、火を焚いて体を温めたりするための場所。この「海女小屋体験施設 さとうみ庵」は本来の海女小屋を模して造られた小屋で、訪ねると、現役もしくは現役を退いた海女さんから海女漁や海の話を聞きながら旬の海の幸をいただくことができます。

「海女小屋体験施設 さとうみ庵」で提供される獲れたての海の幸

獲れたてのサザエ、ヒオウギ貝、スルメイカ、そして干物が、目の前の囲炉裏で海女さんの手によって手際よく手焼きされていきます。その熱々を丁度いい頃合いでいただく幸せと言ったら! 口の中に磯の香りが一気に充満し、思わず頬がだらしなく緩みます。その土地に来て味わっていることで、感動がよりいっそう膨れ上がるのかもしれません。そして、名物の青さのお味噌汁もひじきの釜飯も、素材がいいから、文句なしにウマい。ついつい箸が進み、3杯ほどペロッと平らげてしまいました。

海女さん

私の席についてくれた海女さんは海女歴40年。「ベテランですね!」と声をかけると、「私なんてまだまだ。まわりには60年やっている方もいらっしゃる」と謙遜されました。お話をいろいろ聞いてみると、今、海女さんは高齢化し、後継者不足に悩まされているとのこと。

素潜り漁は伝統の技。それを守るため、平成29年3月、「鳥羽・志摩の海女漁の技術」は国の重要無形民俗文化財に指定されたそうで、全国的に海女漁の関心が高まっていると聞きます。また、「さとうみ庵」には海外の人もたくさん訪れるそうで、「まさかこの志摩で自分が国際交流させてもらえるとは思わなかった」と嬉しそうに話してくださいました。

海女小屋では海女さんが実際に漁で使用している道具
海女小屋では海女さんが実際に漁で使用している道具や、実際の作業風景を映した写真に触れられる。

身体を張って海に潜り、漁をする。その人の手から食べさせてもらい、話を聞かせてもらう。なんでも簡単に手に入る時代だからこそ、こういうアナログな交流が贅沢になるのかもしれない。海女小屋体験を通じてそんなことをしみじみ感じました。

私はホテルのアクティビティとしてこの海女小屋体験に参加しましたが、もちろん施設に直接連絡して予約することも可能です。志摩を訪ねたら、ぜひ試してみていただきたいですね。

ゆるキャラ
志摩市の海女文化と観光をPRするために生まれたというゆるキャラ”しまこさん”にも偶然会えました。

海女小屋体験施設 さとうみ庵

海女小屋体験施設 さとうみ庵


取材・文/甘利美緒

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