「リーダーたちの本とメガネ」ミーレ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原秀樹氏

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リーダーたちの本とメガネ

選ぶには理由がある。そこにその人となりを読み解くヒントが隠れている。リーダーとしてビジネスを牽引する男たちが愛読する本&愛用するメガネから、厳しい競争の中で奮闘する彼らの思考法やビジネス哲学に迫る。

松原秀樹氏

Profile

ミーレ・ジャパン株式会社
代表取締役社長
松原秀樹氏

早稲田大学政治学学士号取得後、米ペンシルバニア大学ウォートン校でMBA取得。日本輸出入銀行(現 国際協力銀行)勤務後、ロレアルグループ、ユニリーバ、エスティローダーグループ、ラ・プレリージャパン等の外資系メーカーで要職を歴任し、2011年末より現職。在日ドイツ商工会議所、日本スイス協会の理事も務めている。


コミュニケーションツールにメガネがなりえるという好例

1899年にドイツで創業し、調理機器、食洗機、洗濯機、乾燥機、掃除機を約100ヶ国で展開しながら、マーケットで絶対的な信頼を獲得してきた家電メーカー「ミーレ」。今回の”リーダー”は、その日本法人「ミーレ・ジャパン」の代表取締役社長を務める松原秀樹氏である。

 

インタビュー当日、松原氏はネイビーフレームのメガネを纏って現れた。

 

ご存知のとおり、ことファッションにおいてネイビーは万能カラーとして愛されているが、その波が、数年前からメガネの世界にも来ている。遠目には黒に見えつつ、黒よりも柔和さを演出できるのがネイビーフレームの魅力だが、それがサックスブルーのタイ&チーフと相まって、氏の印象を、より誠実で爽やかなものにしている。

「やはり清潔感は大切です。代表取締役という立場からして社交は避けて通れませんし、その際、ネイビーは無難で重宝する。今日のようにブルー系のアイテムで全身をコーディネートすることはままありますね。当然のことですが、ひと口に青といっても、いろいろな色合いが存在しますでしょう? 私は日々の装いを通して、その微差を楽しみたいと思っていますので、メガネに関しても、ネイビーフレームだけで数本をストックしているんです。どれも大して変わらないじゃないと、妻には呆れられていますがね」

そうして苦笑する松原氏。聞けば、最初からメガネの色合いにこだわっていたわけではない。銀行員時代は真面目に見られようと、ひたすら黒縁のメガネを掛けていたそうだ。その志向に変化が表れたのは、氏がビジネスマンとして次のステージに移ってから。銀行から転職し、フランスの化粧品メーカー「ロレアル」で働く過程でのことである。

「化粧品のマーケティングをしていたので、色に敏感にならざるを得なかったのも事実ですが、それ以上に、ヨーロッパのビジネスマンたちがメガネやチーフ、靴下などで当たり前のようにカラーコーディネーションを実践していることに刺激されたのが大きかった。そして、そこから会話が盛り上がるのを目の当たりにし、自分でもやってみようと。それからですね、メガネを戦略的に活用するようになったのは」

そして松原氏は言う、「メガネはコミュニケーションツールになりえる」と。「今のポジションになってからは、ミーレのブランドカラーである赤のメガネを積極的に活用しています。また、パーティなどに呼ばれていく際は、招待してくださった側に敬意を表し、相手の国や企業、ブランドに関わりのある色のメガネをチョイスすることもあります。すると、すごく喜んでくださる。これもメガネの大いなる効用ですね」

悶々としているときにいつも道を照らしてくれた本の存在

さて、海外赴任をきっかけにメガネの色を楽しみ、そしてその効能を認識するようになった松原氏であるが、数々の外資系企業を渡り歩いてきた氏によると、その道のりは決して平坦ではなかったそうだ。

「言うまでもないことですが、外資系企業ならではの成果主義には鍛えられました。会社の名前ではなく、個人の名前で勝負する。今でこそ、日本でもそういう風潮は珍しくなくなりましたけど、やはり”言うは易く行うは難し”、当初はなかなか厳しいものがありました。自分が選択したキャリアとはいえ、あのまま銀行員やっていれば良かったかも、と思ったことは数知れません(苦笑)。そんなときは、このD・カーネギーの名著『道は開ける』がいつも私の背中を押してくれたのです。ほら、見てください。読み込んでいる感じがするでしょう」

実際、ページをめくると、そこにはところどころに線が引かれ、さらにメモ書きなども残っていた。

「古典的書物はいい。長く読み継がれているにはやはり理由があると思います。本を買っては断捨離する私ですが、これだけは手放せませんね」

BOOK

人生の節目に自ずと手が伸びる。
読むたびに勇気づけられています


松原氏にとっての座右の書は、1944年に邦訳が刊行されて以来、300万部以上を売り上げた、デール・カーネギーの不朽の名著『道は開ける』。また、中学・高校の先輩にあたる建築家・隈研吾氏の作品集は、ミーレの直営ショールーム(表参道)を隈氏が設計したこともあって、縁を感じ、よく眺めるという。

GLASS

カラーコーディネーションの
有効な一手として活用しています


GLASS
GLASS
Frame Type:Square / Color:Navy

松原氏がメガネを選ぶ際に意識するのは”色”。タイやチーフと同じ感覚で、青い色ひとつとってもバリエーションを揃えるようにしているそうだ。「ブランドにはこだわりません。メガネは出会ったときが買いどきだと思っています。海外に行くとカラフルなフレームがたくさん見つかるので心が躍りますね」。



[MEN’S EX2018年03月号の記事を再構成]
撮影/岡田ナツ子 取材・文/甘利美緒 イラスト/佐藤 剛

『 道は開ける』D・カーネギー

『 道は開ける』D・カーネギー

『 KENGO KUMA COMPLETE WORKS』<br />『 MATERIAL IMMATERIAL』隈 研吾

『 KENGO KUMA COMPLETE WORKS』
『 MATERIAL IMMATERIAL』隈 研吾

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VOL.341

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