前回の好貴心から、随分と時間がたってしまいました。
そうなんです、忘れた頃にやってくるのが、この好貴心。
今回は、前回の掲載から現在に至る間に御縁の生まれた方々や思いについてお届けしたいと思っております。
さて、皆さん。滋賀県といって真っ先に思い出すのは……?
やはり、琵琶湖でしょうか。近畿圏の水瓶、日本一の湖をもつ県なのですが、イマイチ、その魅力が知られていないように思うのは、私だけでしょうか?
時代劇の撮影でも、ちょくちょくお世話になる、掛け替えのない地。
そのじわっと味わい深い魅力を、地元に根付きながら継承、発展させていく人たちに会うために、いざ滋賀は近江八幡へ!
中井 ラ コリーナを最初に見せて頂いたときに、何でお菓子屋さんがこんなことしてはるのかな?と本当にびっくりしたんですよ。
山本 もともとは父親が買った土地なんです、というと「あーあ」と思われてしまいそうですけど(笑)。以前は厚生年金施設やった場所なんですが、私どもがたまたまこの土地にご縁をいただいたんですね。3万5000坪、甲子園三つ分の土地に、ゴルフ練習場、テニスコート、プール、ホテル、どこにでもあるものが全部あったんです。
中井 それが、現在のラ コリーナに姿を変えたんですね。和菓子、洋菓子を販売する棟や本社棟があったりするんですが、普通の建物じゃない、自然に溶け込む設計というんでしょうか。しかも、敷地の真ん中に水田が広がっていて、農業用の建物や全国に山野草を発送する部門があるかと思えば、いい感じの石やアート作品がポンポンと置いてあったりして、要するに余白が多いわけですよ。擦れ違う従業員の方に聞くと「僕はお菓子は作れませんが、植木で入社しました」とか「農業で入りました」とか言われる。今の社会って、無駄を切り捨てて経営している会社がほとんどなのに、たねやさんは無駄を楽しむ経営をされている。
山本 「無駄」ってものすごく大事やと思ってるんですね。無駄なことが結果的に成功に導いてくれることがたくさんありますし、ラ コリーナでも、まあ無駄なことしてます(笑)。本来なら、その場所に田んぼじゃないやろ、店やろと、誰が見てもそう言われるんです。ラ コリーナは3年前にオープンしたんですが、おかげさまで今年の年間来場者が250万人ぐらいになりそうなんです。以前の近江八幡全体の観光客が年間80万人。お客様は不便やから行かないという時代じゃないんですね。新幹線の駅に近いとか、道路が整備されているとか、便利に便利にっていう時代があったと思うんです。でも今は、それはもう飽き飽きされているのと違うかなと。