【腕利き職人スーパースター列伝】〜vol.1〜『かばんの男』になりたくて

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これまで、MEN’S EXでは、高度な腕前を持つ職人の方々を紹介してきた。彼らの持つ特別な技術は、これまでにも多くの場で分析されてきたが、実はテクニック以上に面白いのはそれぞれの人生だ。名人芸を生み出すきっかけは個性的な経歴があってこそ。この連載では、そんな名職人たちのユニークな人生を取材し、超絶技巧が生まれた背景を探ってみたい。

腕利き職人スーパースター列伝

鞄職人/藤井幸弘さん

腕利き職人スーパースター列伝

Profile
藤井幸弘さん

1949年生まれ、群馬県出身。大学で機械工学を学び、卒業後は自動車関連会社に就職。約6年半で退社したころに鞄づくりに興味を持ち、独自に鞄の製作をスタートする。のちに鞄メーカーに勤務して、33歳で独立。上質を追求した鞄の製作を続けている。

最高峰の鞄職人として知られる藤井幸弘さんは、徒弟制度が主流だった鞄業界には珍しく、独学で鞄づくりをスタートした人物だ。しかも、群馬大学の機械工学部工学科を卒業したのち、前橋のダイハツ車体に就職したというから、鞄の世界では実に稀有な経歴の持ち主といえる。

「当時は生産ラインの設計や機械のメンテナンスを担当していました。クルマの設計を少し手掛けたこともありましたね。勤務していた前橋の工場は、当時関東の生産拠点となっていた場所です。ハイゼットの部品が毎朝、大阪からトレーラーで届きましてね。それが、ものすごい数! 工場ではボディを組み立てて溶接し、塗装してという一連の行程が行われていました」

鞄職人/藤井幸弘さん

鞄職人/藤井幸弘さん

『銀花』第三十四号(昭和53年、文化出版局)

『銀花』第三十四号(昭和53年、文化出版局)

『銀花』第三十四号(昭和53年、文化出版局)

『銀花』第三十四号(昭和53年、文化出版局)

東京・国立で自分の工房を始めたばかりの頃

東京・国立で自分の工房を始めたばかりの頃

渋谷に工房を構えていた時代の藤井さん

渋谷に工房を構えていた時代の藤井さん

渋谷に工房を構えていた時代の藤井さん

渋谷に工房を構えていた時代の藤井さん

現在、工房では2クラスの教室も行われている。

現在、工房では2クラスの教室も行われている。

「キリ」は革に糸を通す穴を開けるときに使う。使いやすいように先端を自分で削り、カスタマイズしてある。

「キリ」は革に糸を通す穴を開けるときに使う。使いやすいように先端を自分で削り、カスタマイズしてある。

革に縫い目の位置を刻む「目打ち」。日本製とフランス製では刃先の形状が異なる。革やステッチの雰囲気によって、道具を変えているそう。

革に縫い目の位置を刻む「目打ち」。日本製とフランス製では刃先の形状が異なる。革やステッチの雰囲気によって、道具を変えているそう。

革を縫い合わせる際に、素材を固定する「馬」と呼ばれる道具。自作のものとフランス製を作業によって使い分けている。

革を縫い合わせる際に、素材を固定する「馬」と呼ばれる道具。自作のものとフランス製を作業によって使い分けている。

革を削る「かんな」。刃と本体が蒲鉾上にカーブしている点にご注目あれ。実はこれ、パーツの窪みを均等に削るために、窪みにはまるように自分でカスタマイズしたものなのだ。

革を削る「かんな」。刃と本体が蒲鉾上にカーブしている点にご注目あれ。実はこれ、パーツの窪みを均等に削るために、窪みにはまるように自分でカスタマイズしたものなのだ。

金原リエさん

金原リエさん

閉じた状態の棒屋根の口枠。写真はアンティークのバッグから取り外して磨き直したものだ。

閉じた状態の棒屋根の口枠。写真はアンティークのバッグから取り外して磨き直したものだ。

棒屋根が開くとこうなる。二本の棒状のパーツの両端に「く」の字型に曲がるヒンジが取り付けられており、開くと四角い枠になる。

棒屋根が開くとこうなる。二本の棒状のパーツの両端に「く」の字型に曲がるヒンジが取り付けられており、開くと四角い枠になる。

2024

VOL.341

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