そんなコンチネンタルGTが3代目に生まれ変わった。オーストリアとイタリアのアルプスを舞台に繰り広げられたその国際試乗会に参加し、新型の魅力を存分に味わってきたので、ここでリポートしよう。
「コンチネンタルGT」を試乗!(写真2枚)
実車を目の前にして沸き上がってくる気持ちを素直に言葉にすれば「カッコイイ」となる。
これまでのコンチネンタルGTは、余裕ある室内スペースを確保するとともにグランドツアラーが備えたスタミナを表現するため、車高はスポーツカーよりもやや高めで、全体的に重量感のあるデザインとされてきた。ちょっと大げさにいえば、蒸気機関車のような量感があった。
ところが新型は車高が低く、まるで地面に這いつくばったスポーツカーのように見える。いかにもコーナーを素早く駆け抜けそうな印象を見る者に与えるのだ。
しかし、これはデザイン上のマジックで、実際の車高は現行型とほとんど変わらないという。重量感よりも軽快感を表現したいと思うデザイナーの気持ちが、このようなデザインを生み出したのだろう。

実は、新型は外観だけでなく、走りの面でもスポーツカーに近づいたといえる。
たとえば、険しい山道が延々と続くアルプスのワインディングロードでは、軽くハンドルを切るだけでクルマの向きがすっと変わり、俊敏にコーナーに進入していける。直進性重視だったこれまでのコンチネンタルGTとは別物の機敏さだ。
一方で、高速道路に足を踏み入れれば、グランドツアラーらしく矢のように突き進んでいこうとし、ドライバーに無駄なステアリング修正を要求しない。だからどんなに速度を上げてもリラックスしていられるし、長い距離を走っても疲れない。ゆったりとした乗り心地はまるで宙に浮いているかのごとく快適。ハイウェイクルージング中に助手席の乗員と囁くようにして会話できるのも、ベントレーの優れた特徴のひとつといえる。