オーストリアとイタリアのアルプスを舞台に繰り広げられたベントレー コンチネンタルGTの国際試乗会が行われた。最上級のグランドツーリングカーはどのように生まれ変わったのか。

ベントレー・コンチネンタルGTのステアリングを握っていると、いつも心が穏やかになる。混雑した道を走っていても先を急ぐ気持ちがすっと薄れ、何気なく他のクルマに進路を譲れるようになる。ちょっと英国紳士になったような気分だ。
その理由は、ベントレーがもともと英国の富裕層に向けたクルマ作りをしてきたことにくわえ、100年近くにわたってグランドツアラーを手がけ続けてきたという歴史的背景が関係している。
グランドツアラーとは、高速道路をどこまでも走り続けることを得意とするクルマのこと。いまを遡ることおよそ80年前には、ひとりのベントレー・オーナーが南仏のコートダジュールからロンドンまで特急列車のブルートレインと競争し、圧勝したという”伝説”が残っているが、そんな使い方もできてしまうのがベントレーのグランドツアラーなのだ。たとえていえば、瞬発力というよりは持久力。くわえて車内で長時間を過ごす関係で、豪華で広々としたキャビンを用意することが多いのもグランドツアラーの特徴といえる。
つまり、ハイスピードで延々と走れるスタミナがあって、贅沢な素材で包まれた車内ではゆったりと寛ぐことができる。そんなコンチネンタルGTに乗っていれば気持ちに余裕が生まれるのは当然のこと。だから、このクルマに乗るといつも心穏やかになるのだ。