【EVという美意識】
エグゼクティブには、物語のあるEVが相応しい
数々の「物語」を纏った往年の名車が電動で甦る
EVの話題があふれる昨今、多くの人は「航続距離は?」「充電時間は?」と、数値ばかりを気にしがちだ。もちろんそれは大切な指標ではある。だがエグゼクティブにとって、本当に心を動かされるのは数字ではなく、そこに宿る“物語”ではないだろうか。
ここ数年、自動車メーカーは次々と往年の名車を電動で蘇らせている。かつて街を賑わせたフォルムや、人々の記憶に残るシルエットが、最新のEV技術とともに再登場する姿は、単なる技術進化以上の意味を持つ。それはブランドが積み重ねてきた歴史や文化を再び解釈し、未来へと接続するからだ。
こうした復刻系EVは、若い頃に憧れたデザインを、今の自分のライフスタイルに合わせて手に入れることができる。しかもそれは、過去を懐かしむだけでなく、持続可能な社会に貢献する未来志向の選択でもある。つまり“物語”を纏いながら、同時に“時代の最先端”を生きることができるのだ。
この流れは単なるノスタルジーでは終わらない。往年の名車には時代を超える普遍的な美しさがあり、その魅力はEVという新しい文脈で再解釈されることで、むしろ鮮烈さを増す。そこに共通するのは「変わらない何か」と「進化した何か」。デザインのシンボルやサイズ感といった“変わらないもの”が、最新のバッテリー技術やコネクティビティといった“進化したもの”と融合し、新しい価値を生み出しているのだ。
EV時代の到来は誰にとっても避けられない変化である。しかしエグゼクティブの選択肢として重要なのは、“どのEV を選ぶか”ではなく、“どんな物語を選ぶか”という視点である。復刻系EVは、その問いに対して最も豊かな答えを提示していると思うのだ。
Volkswagen ID.Buzz
愛された箱 EV時代の象徴

VWタイプ2、通称「ワーゲンバス」を蘇らせたID.Buzz 。水平基調のフロント、ツートーンのボディカラー、大きなVWエンブレム。往年のアイコンを巧みに再解釈しつつ、MEBプラットフォームを採用した純EVとして生まれ変わった。航続距離は約400km、広大なキャビンは大人の週末旅にも最適だ。懐かしい面影と最新技術が調和したその姿は、過去と未来をつなぐ架け橋のように存在感を放つ。価格888万9000円(税込)~。(問い合わせ先:フォルクスワーゲン カスタマーセンター)

1950年登場の「ワーゲンバス」。ビートルをベースにした愛嬌あるデザインと広い室内で人気を博し、シンプルで普遍的なスタイルは世界中で愛された。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み