紳士服の永世定番
「ブレザー」概論
100年以上の歴史を辿り、現在の形になったネイビーブレザーは「いったいどんな洋服だったのか?」。メタルボタン付きの紺無地ジャケットと単に定義するのはあまりにも大雑把すぎないか?
そこで今回、ファッション業界の事情通への取材を通して、その歴史、そしてその服としての意味を、改めて考察してみることにした。
4:ドレスコードにおけるブレザーの立ち位置を把握しておく
「1:ブレザーの起源を知る」はこちら>>
「2:ブレザーたらしめるディテールを理解する」はこちら>>
「3:米・日におけるブレザーの歴史的変遷を知る」はこちら>>
ちょっと寛いだフォーマルにはブレザーが最適

今や、ブレザーはそれ一着で仕事やカジュアルはもちろん、パーティなどのフォーマルまで、幅広いシーンで装いを愉しめる紳士のマストアイテムに。フォーマルでは蝶タイにシャツは比翼仕立てのモノがドレッシーだ。
「実は、ブレザーは略礼装にまで通用するアイテムなのです!」

麻布テーラー ディレクター一般社団法人日本フォーマル協会認定講師
上月 剛さん
日本ではファッションを軸にスタイリングを変えながら、真のトラディショナルアイテムとなったブレザー。「そのデザインこそ大きく変わらないものの、着こなしの幅の広さが魅力」というのは、日本フォーマル協会講師としても活躍する麻布テーラーの上月 剛さん。
「実は、日本プロトコールでは昼の略礼装(慶事限定)としてブレザー&スラックスが認められています」というように、制服としての起源をもつブレザーはドレスコードからみても、日本の略礼装に相当するくらい汎用性が広い。さらに、フォーマルに馴染むスタイルについて上月さんは「ピークトラペルにするとフォーマル度が上がりますが、着回しを考えるとノッチトラペルが重宝します。フォーマルではグレースラックスとの調和を考えるとシルバーボタンが使いやすいかと思います」。
流行も年代も関係なく愉しめる柔軟性の高さこそ「紺ブレ」が永世定番として愛されている理由なのだ。
これが略礼装としてのブレザースタイル

「現代でも親しい仲間で集まるパーティや学生時代の同窓会など、プライベートな仲間内のパーティにはブレザースタイルのフォーマルが似合います」(上月さん)
[MEN’S EX Spring 2025の記事を再構成]