「テイラーウィズリスペクト」を鯖江で徹底取材! 本格眼鏡はこうして作られる_03

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ファッションとしてはもちろん、確かな品質も備えた本格眼鏡。鯖江の老舗から世界の有名メゾンまで圧巻の1000本以上の最新フレームを1冊に網羅した『本格眼鏡大全 2024』が発売中。その中身を一部ピックアップしてご紹介する。

誕生秘話から苦労話まで
テイラーウィズリスペクト座談会

ブランド立ち上げから現在まで関わってきたデザイナー脇氏、ミヤシタオプトメーク宮下氏、マックス中林氏による、座談会を実施。製造にまつわる秘話はファン必読の内容だ。


お互いに切磋琢磨しながら成長できる良きパートナー

 こうして3人で集まり、私のブランドの話をするのは、なんだかちょっと照れくさいですね。

中林 そんなこと言って、いつも無茶振りしてくるじゃないですか(笑)。

宮下 脇さんのような小ロットで発注するブランドは、みんなわがままですよ。でも、無茶な発注でも、こちらに寄り添ってくれているので助かっています。

 大手と同じことをやっていてもダメですし、ブランドの存在意義があるのでどうしてもお二方にはいつも無理を言ってしまい申し訳ないと思っていますよ。

宮下 でも、テイラーウィズリスペクトに関わって思うことは、マックスさんが製造担当であることもあり、どれも精度が高くいつも驚いています。実際に現場の職人の間でも評判は高く、仕事のやりがいがありますね。

中林 そう言ってもらえると嬉しいですね。15年前に最新マシンを投入してからは仕事のクオリティを高めることができました。脇さんからもらった2次元データを、3Dデータに落とし込める優秀な設計士もいます。それと新しい工場ではブロックごとに製造できるようになり、金型からパーツ、研磨など、一貫生産できるようになったのが大きな要因ではないかと思います。またネットワーク管理によって効率のいい仕事ができるようになったのもあります。まだ鯖江にある工場ではパーツづくりがバラバラに動いていますが、マックスはすべての工程が工場ひとつで完結できるのが強みですね。この一連の流れができなければ、脇さんのところのような複雑なパーツは作れないかもしれません。それと脇さんが送ってくるデータは嘘ばっかりの数字で、調整するのが大変(笑)。

テイラーウィズリスペクトの型&各パーツ

 難しい枠やパーツを作るとなると、どうしても中林さんや宮下さんの工場に頼らざるを得ません。それと誤解を解くために、私が指示する数字には意図があります。宮下さんや中林さんの工場の実績や力量を知ったうえの数字で、私の中でここまではできるという信頼があり、そこからできるかな?できないかな? という具合の、絶妙な図面を引くようにしています。それを提出すると、ここまでは難しいけど、これならできるという、一定のラインを教えてくれます。今は昔と違い、あらゆる技術やものが発展していて、ちょっと努力をすればできるようになりました。それをいいところでバランスをとって製作を進めていくと、私もそうですけど、宮下さんや中林さんの工場の技術もさらに発展できます。それが狙いなんです。

脇さん

宮下 そうですね。私の工場もそうですし、中林さんの工場も年々レベルアップしています。脇さんのブランドの眼鏡を作り上げると、他ブランドでは味わえない達成感があります。

中林 私もそう思います。ひと昔前は直接取引することができなかったのでお互いのやりたいことがなかなか通じず、着地点が見えなかったことがありました。でも脇さんが鯖江にいるおかげで、サンプルができて連絡すると、すぐに見に来てくれるので、こちらとしても都合がいい。そこですぐにお互いの意見を交換できるし、脇さんのブランド以外の仕事も機械をストップさせることなく、スムーズに事が運べます。

 私が鯖江にいるのは、そこなんです。もちろん東京でも仕事はできますけど、たとえば東京にいてサンプルが上がって確認するには手配などで数日かかります。でも鯖江にいると、連絡をくれればすぐに見に行けて意見を言えるのでお互いに仕事がしやすいですよね。それとこうやってトップの方々と直接やり取りできるのは、他ブランドでは真似できない大きな強みだとも思っています。

脇さん、中林さん

宮下 メーカー同士でやり取りをするとブランドの偉い方に話がいく前に間に誰か入ってしまい、そこで確認→相談になって、無駄な時間がかかります。けれども脇さんとのやり取りはそれがない。なんだかんだで昔から知り合いなのもあるけど、トップ同士がきっちりと意見交換できると時間のロスもなくなり、何事もスムーズになりました。

中林 そこですよね。マックスでは機械をセッティングするのに半日〜1日かかりますし、一度セッティングするとその機械はそのパーツだけしか加工できません。なので、判断が早いとタイムロスもなく、素早く仕事が運べます。なにより、ややこしい話をしなくてすみますしね。

 宮下さんや中林さん含め、工場で働く職人さんには頭が上がりません。

宮下 それと聞いた話ですけど、海外のお客様が眼鏡を誤って洗濯機に入れてぐちゃぐちゃになったとか。

 そうなんですよ。これがその画像です。結構ひどいですよね……。

中林 これはひどいなぁ。普通ならもう修理が難しいのでは?

 でも、調整して元通りになったんですよ。手前味噌になっちゃいますが、すごくないですか。

宮下 脇さんのブランドはパーツに互換性があるから取り替えもできるけど、調整だけでここまで元通りになるのはすごいことです。それと取り扱い店舗から不良品が戻ってこないとも聞いています。

 そこも自慢ですね。テイラーウィズリスペクトの眼鏡は年々アップデートしていますが、先ほど宮下さんが言っていたとおり、たとえ壊れてしまっても、テンプルやヨロイは互換性が高いのでどのモデルにも共通して使えますし、強度もしっかりと確保されています。なので、品質もアフターケアも万全です。これもデザイナー冥利に尽きると言えますが、私を含めて2人のプロフェッショナルな仕事のおかげでもあります。

宮下&中林 嬉しいですね。

ミヤシタオプトメーク

 タイムパフォーマンスに優れた仕事ができて、精度の高い眼鏡が作れるようになったのはなんだか感慨深いですね。

中林 ですよね。最初は脇さんがブランド設立の際、記念に金型はウチで面倒見るよって言ったんですよ。そうしたら、際限なく発注してきて(苦笑)。

 ちゃんと面倒見てくれるって言ったから甘えました(笑)。

宮下 こういうジョークも交えながら話せるのも、上下関係なく言いたいことをハッキリ言える仲だからですね。

宮下さん

 そうです。最後に、テイラーウィズリスペクトはおかげさまで立ち上げて7年になりました。今ではエンドユーザーや取り扱いのお店、鯖江の職人、それぞれの想いがこもり、私自身のブランドだけではなくなりました。この先の時代によって方向転換することはしょうがないのですが、私自身ががっかりすることはしたくなく、支えてくれている皆さまを裏切るようなことはしたくありません。それは難しいことなのですが、今一番の課題だと思っています。どうやって進めていくのが理想なのかを模索しながら、みんなで足並み揃えて、この先もワンチームで進んでいければと思います。

宮下 もちろんですよ! あっ、ちょっと思いつきました。脇さん、中林さんにアレ見てもらいませんか?

 アレですね。早速宮下さんの工場の2階に行ってみますか。

中林 緑色が基調の工場の内部に、什器も緑色と、キレイですね。

 鯖江グリーンと命名し、この色をイメージした眼鏡って面白くないですか?

宮下&中林 面白い! やってみましょうかね(笑)。

脇さん、宮下さん

 

もっと知りたい方はこちら!

本格眼鏡大全2024

眼鏡Begin特別編集『本格眼鏡⼤全2024』
定価:3,960円(税込)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
購入は こちら

【サイズ表記の読み方】
48□18 → (①□②) ①玉型の左右幅 ②ブリッジの幅

※記載されている商品の価格は、原則として本体価格であり、2024年1月31日現在のものです。税込価格は消費税を本体価格に加算した金額となります。本体価格や店舗情報ならびに商品の入荷状況などは諸事情により変更されることがあります。また掲載した写真の色や素材感、仕様等が、実際の商品と若干異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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