まるで味わい豊かな高級フレンチか、DS 9は“大人以外お断り”オーラの塊だった

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味わい豊かな「高級フレンチ」の甘く滑らかな世界観、DS 9は非・大人お断りオーラの塊だった

FFの高級車を世に知らしめる

のっけから分かりにくい喩えだが、DS 9の印象をひと言でまとめると”châtelain/châtelaine(シャトラン/シャトレーヌ。シャトー暮らしの、という形容詞、または名詞でシャトー暮らしの男女それぞれの意)”に尽きる。日本でシャトラン/シャトレーヌなどと聞くと、チョコ系の駄菓子か、軽量鉄骨の旧い賃貸アパートにでもありそうな名前に思えるかもしれないが、リアルに今どきのシャトー住民が乗る雰囲気のクルマに仕上がった、それがDS 9だ。ドアを開けてくぐった瞬間、素材感リッチな生活観の違いに、圧倒させられる。こればかりは、見て触ってみないと分からない。

DSのフラッグシップらしいインテリアDSのフラッグシップらしいインテリア
「アール・デコ様式を今日的に再解釈・再定義したかのような」と表現される、DSのフラッグシップらしいインテリア。

従来はDS 7クロスバックとDS 3クロスバックの2車種のみラインナップしていたDSは、DS 9でBMW 5シリーズやメルセデス・ベンツ Eクラス相当の欧州Eセグメントに進出する。大型およびアッパーミドル・サルーンの需要は中国市場以外の地域では減退している以上、決して販売台数の見込めるモデルではない。だがDS 9の存在理由は、むしろもっと歴史的だ。シトロエンDSあるいはトラクシオン・アヴァン以来の伝統たるFF(フロントエンジン・フロント駆動)の高級車を、今一度DSブランドの基礎固めを兼ねて世に知らしめる、そこに力点がある。FRベースにあらずんば高級サルーンにあらず、そんな既存のセオリーを、過去への視点からぶっ壊してみせるアヴァンギャルド。そんなバック・トゥ・ザ・フューチャー気味のアプローチごとフランスっぽい。要はドイツ車や英国車のロジックに、ハナから追従しない芯の強さをデフォルトでもち合わせている。そこが頼もしい。

ルージュ・ルビーと呼ばれるレザー張りの内装色

試乗した「オペラ」仕様のルージュ・ルビーと呼ばれるレザー張りの内装色は、いかにもエモーショナルなハデ色に見えるかもしれないが、じつはグレー×赤は、フランスでは男性のスーツ&タイや女性のローブ&アクセでは、無難な定番とされる組み合わせ。ルーフやピラーの内張りに用いられたアルカンターラのチャコールグレーと合わせ、大人の目には慣れ親しんだものに映る。

一枚革から仕上げたウォッチストラップシート
オペラには、一枚革から仕上げたウォッチストラップシートを採用。

それにしても驚くのは、その静的質感の高さそのものより、あらゆるところにルージュ・ルビーのレザーが、くまなく張り巡らされていることだ。

ダッシュボード
ダッシュボード中央にはB.R.M社製のアナログ時計を配置。その下にはエンジンスタート/ストップボタンが並ぶ。

DS 7クロスバックよりワイドでコンケーブ状のダッシュボード面やドアパネルは無論、フロントシートの背面までレザーが回り込んでいる。

シート
オペラの左右リアシートにはシートヒーターに加え、ベンチレーション機能が備わる。中央のセンターアームレストには快適装備のスイッチ類が配された。

フランス車としては珍しく助手席シートの側方にはリアシートから操作できる前後スライドスイッチもあり、ショーファードリブンをも意識していることが窺える。当然、後席の足元も広く、リアセンターコンソールにまでギョーシェ彫りのクロームインサートが認められる。

DS9
ボディサイズは全長4940×全幅1855×全高1460mm、ホイールベース2895mm。

外観については、流麗で端正なフロントマスク、やや尻すぼみのシルエットは欧州サルーンとして古典的といえる。フランス本国の発表値で4934×1932×1460mmというサイズ感も、2895mmというホイールベースも堂々としている。ただしトレッドは意外にも控えめで、同じEMP2プラットフォームに基づきながらひとつ下のDセグメント・サルーンであるプジョー508よりもナローな前1584/後1566mmとなる。一般にトレッドが広い方が懸架装置つまりサスペンションに荷重があらかじめ分散される分、素早い荷重移動に強いとされるが、トレッドの広い狭いは一長一短で、1Gできっちり縦荷重をかけるナロートレッドの方が直進安定性や乗り心地に優れる。よりアッパーなサルーンとして、DS 9の目指すキャラクターが垣間見えるジオメトリー・セッティングといえるだろう。

ちなみに発表時に画像で見た際にトゥーマッチに見えた、リアバンパーとリアコンビランプを結ぶようなクロームのインサートは、薄いボディカラーではそう目立たない。それどころかボディパネルと地続きの面処理なので、ギラついた光沢を放つための飾りでないことが、実車を見て初めて了解される。じつはこれは1955年発表のオリジナル、シトロエンDSのリアバンパーに着想を得たものだ。またリアガラス両端、テンションONの間は常時点灯するLEDランプも、ウィンカー機能はないが、オリジナルDSのウィンカーランプを模しているディテールだ。

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