第4次ブームが到来!? コーヒーの新しい波
コーヒーブームが叫ばれる近年。今は、第4次ブームなのだという。まず、ファーストウェーブは19世紀後半、コーヒーが王侯貴族だけではなく庶民に普及し始め、やがて大量生産が可能になる。その時のメインは浅煎りのアメリカンコーヒーだった。次のセカンドウェーブは1971年にアメリカ・シアトルでスターバックスが開業し、深煎りのドリップやエスプレッソ+ミルクのカフェラテなどが人々に好まれるようになったものだ。そして、記憶に新しいのが、ブルーボトルなどのサードウェーブ。客の前で一杯ずつ丁寧に抽出するスペシャリティコーヒーと言われるものだ。
そしてコロナ禍の影響もあり、“家飲みコーヒー”に注目が集まり、10万円を超える家庭用のコーヒーマシンも次々に登場。ハードのマシンにこだわれば、ソフトであるコーヒーの種類にもこだわるのが人として自然だ。生産国の違いはもちろん、アラビカ種かカネフォラ種かといった品種の違いや、そしてナチュラル・ウォッシュド・セミウォッシュドといった加工処理の違いまでを見極めて、コーヒー豆を個人で選別する時代が来ている。何事にもこだわりの強いM.E.読者ならば、深遠なるコーヒーの世界にきっとハマってしまうことだろう。
厳しい試練を勝ち抜いた“縁起物”コーヒーとは?
日本では最高級コーヒーとして認識されているブルーマウンテンだが、実は厳しい環境で育ってきたがゆえに縁起もいいのだという。数年に1度はハリケーンによる脅威にさらされ、そのたびに深刻なダメージを受けているジャマイカ。コーヒー生産もまた例外ではなく、それに勝ち残った優秀な豆だけが出荷されている。ハリケーンを乗り越え、そして前述した厳格な審査を乗り越えて日本へとやって来た、言わば“勝ち組”のブルーマウンテンコーヒー。

古来、日本では前に進むことしかできない蜻蛉を勝ち虫と呼んだ。戦国の武将・前田利家は兜にもつけて珍重した。また、干した栗の実を臼でついたものを搗ち(勝ち)栗と呼んで、勝利の祝いや正月に食したとされている。控えめと言われる日本人だが、意外と勝ち負けを気にしていた。
そんな勝ち負けに関する験担ぎの新たな一端に、勝利のコーヒーが令和の世で習慣づくのかもしれない。今年の1月9日はもう過ぎてしまったが、これから春を迎え、新たな場での勝負をする人にブルーマウンテンを贈るのもいいのではないだろうか。
取材・文=藤村 岳