[ブランド学/2]
FENDI(フェンディ)
確かなクオリティを担保するクラフツマンシップの継承

イタリアの伝統と創造を結ぶフェンディの継承の美学
フェンディのクラフツマンシップは、単なる技術の積み重ねではなく、ブランドの核を形作る文化そのものだ。1925年にローマで始まった小さな工房から、今日の世界的ラグジュアリーブランドへと成長した背景には、職人技の継承と革新の両立がある。フェンディはレザー製品や靴などの自社工場を複数保持し、そこで熟練職人たちが一つひとつの製品に命を吹き込んでいる。また、フェンディは自社工場の拡充に加え、「ハンド・イン・ハンド」プロジェクトを通して、イタリアの全土に広がる小規模な職人アトリエとのパートナーシップを築いてきている。これらのアトリエでは、各地特有の技術やデザインを活かした製品が生み出されている。もちろん、自社においても革や毛皮などの素材の選定から裁断、縫製、仕上げに至るまで、手作業を重んじる姿勢は、創業当初から全く変わっていない。さらに、自社工場を持つことで次世代への技能伝承を体系化し、熟練職人と若手職人が密に関わる教育環境を整備している点も見逃せない。この連鎖により、技術だけでなくブランド哲学も自然に受け継がれ、フェンディらしいデザイン美学と革新性が継続的に発展しているのだ。自社工場でのクラフツマンシップの継承は、単なる技術保存に留まらず、ブランドアイデンティティを未来へつなぐ戦略の一つとなっているのである。
自社ファクトリーで歴史・伝統技・美を次世代に受け継ぐ

フェンディのクラフツマンシップは、ローマ創業時の工房の精神を軸に多くの職人によって支えられ、現在まで継承されている。象徴的な「バゲット」や「ピーカブー」も手仕事で丁寧に仕上げられ、そこには世代を超えた技が息づく。さらに「ハンド・イン・ハンド」などのプロジェクトを通じ地域工芸との協働も進め、イタリア文化遺産としての職人技を未来へと紡いでいる。

[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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