電動スーパーカーの新基準となりうるコンペティションモデル
ドイツ・パーペンブルクのATP試験場で、計測機器が示した数字は496.22km/h。BYDのハイエンドブランド「仰望(YANGWANG/ヤンワン)」が開発したスーパーカー「U9 Xtreme」が、EVとしての世界最速記録を更新した。これは2025年8月に同ブランドの「U9 Track Edition」が樹立した472.41km/hを上回るもの。さらにニュルブルクリンク北コースでは6分59秒157というタイムを記録し、量産EVとして史上初の“7分切り”を達成。これは、内燃ハイパーカーのメルセデスAMG ONE(6分29秒)やポルシェ911 GT2 RS(6分43秒)といった“市販車最速クラス”に比肩しうる領域に踏み込んだ記録である。直線での速さとサーキット性能という相反する要素を高次元で両立した。
ベースとなった「U9」は、2024年に登場したブランド初のピュアEVスーパーカー。日常走行にも対応しながら、e⁴プラットフォームとDiSus-Xインテリジェント車体制御によって圧倒的な安定感と快適性を両立するモデルだ。対してこの「U9 Xtreme」は、その公道仕様をもとにサーキット走行専用に再設計されたコンペティション仕様。ボディ剛性、空力、パワートレイン、制御システムのすべてを再構築し、極限環境での持続的な高性能を追求している。
世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームを採用し、30,000rpm高性能モーターを4基搭載。高強度アルミニウムハウジングと970MPaローターの組み合わせにより、総出力3,000ps超、パワーウェイトレシオ1,217PS/tを実現した。電子制御は1mm秒単位で姿勢を補正し、暴力的な加速を理性で抑え込む。
冷却系も刷新され、大流量オイルポンプと立体冷却構造により熱負荷を分散。サーキット仕様ブレードバッテリーは30Cの高放電性能を誇り、リン酸鉄リチウム電池の新基準を打ち立てた。制動系はチタン合金キャリパーとカーボンセラミックディスクの組み合わせ。ニュルブルクリンクの177カ所のブレーキングポイントを解析し、熱安定性と制動フィールを最適化している。
さらに佳通タイヤ(Giti Tire)と共同開発した「GitiSport e·GTR² PRO」セミスリックは、アラミド繊維を内部補強し、500km/h近い速度でも形状変化を最小限に抑える。高G旋回時のリニアな挙動が、EVスーパーカーの限界を新たな次元へ押し上げた。
U9 Xtremeは単なるハイパフォーマンスEVではない。技術革新の象徴であり、電動化時代の“情熱の形”でもある。世界限定30台。最速と知性を両立するその存在は、EVスーパーカーの新たな基準として、自動車史に名を刻むことになるだろう。
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