インテリアの見どころは、ツインスポークのスポーティなデザインの新世代ステアリングホイールだ。ブラックパネル化された左右のスポークにはナビゲーションやメーター内の各種設定、そして安全運転支援システムの操作系が集約されている。スワイプ&タッチで感覚的な操作が可能となっている。また「ハイ、メルセデス」でおなじみの自然言語による音声入力式インフォテインメントシステム「MBUX」も搭載された。
ステアリングにはもうひとつ進化したポイントがある。それは、前走車を追従するACC(ディスタンスアシスト・ディストロニック)とカメラで白線を見てステアリングを自動操縦してくれるレーンキープアシストを併用している際に、ドライバーがステアリングホイールを握っているのを検知する方式がトルク感知式から静電容量式になったことだ。これまでのトルク感知式では、ステアリングを握っているにも関わらず、アラートが頻出する傾向にあったが、この変更でステアリングのリムに触れているだけでドライバーを検知するようになり、使い勝手が向上している。
さらにEクラスセダン/ステーションワゴンに続いて、日本で販売される乗用車としては初となるAR(拡張現実)技術を採用したナビゲーションシステムを搭載した。これは交差点などで右左折する際にナビの地図表示がライブ映像へと切り替わり、その上に進行方向を示す矢印などが映し出されるものだ。多叉路など複雑なルートでも行き先がひと目でわかる。
Eクラスクーペ/カブリオレのディテールをフォトギャラリーでチェック(画像5点)
クーペにはコンフォートの走りがよく似合う
試乗車はクーペ/カブリオレともに「E300 スポーツ」だった。最高出力258ps、最大トルク370Nmを発揮する2リッター直列4気筒ターボエンジンに、効率に優れた9速オートマチック「9G-TRONIC」を組み合わせている。
最初に試乗したクーペは、ボディ剛性の高さが印象的だった。エンジンはわずか1800回転から370Nmものトルクを発生するだけに、アクセルペダルの操作にリニアに反応する。またメルセデスらしい切れば切った分だけ曲がるハンドリングで、コーナリングも気持ちがいい。
足回りはこのクーペ、そしてカブリオレともにエアサスと電子制御ダンパーを組み合わせたAIR BODY CONTROLサスペンションを標準装備する。走行モードはコンフォートからスポーツ+まで備えていたが、このクルマの性格にはコンフォートがぴったりだと思う。唯一気になったのが、標準装備するランフラットタイヤのせいか、荒れた路面でノイズや細かな突き上げが感じられたことだった。タイヤ交換するのがもっとも簡単な解決法だとは思うが。