ラグジュアリィSUVの先鞭をつけた初代
前置きが長くなったが、今回は、(今の所)フラッグシップである現行型グランドチェロキーについて紹介していこう。初代モデルのデビューは、まだ北米マーケットにおいてラグジュアリィSUVというポジションが確立されていなかった90年代前半のこと。チェロキー(XJ型)同様に、オフロード走破性を譲ることなく、乗用車的な乗り味と快適性を高次元で両立、さらにラグジュアリィという新しい価値観を与えたモデルとして登場している。
日本でも早々に導入が開始されたが、右ハンドルモデルの追加と、円高という為替レートの追い風も受けて、大ヒットに至る。
1999年に登場した2世代目はその流れをそのままに熟成した感が強く、こちらも大ヒット。トップエンジンであり、新開発のV8搭載モデルも右ハンドル仕様に。さらにこのユニットには2つのギア比をもつセカンドギアが与えられ、4WDシステムもセンターだけではなく、フロント、リアまでロック状態にできるデファレンシャルギアを採用するなど、新技術が多く搭載されたこともトピックであった。
ボディ形状は、XJ型チェロキー同様にフレームとボディを一体化したユニボディ構造を採用するが、サスペンションには前後ともにコイルリジッド式を採用し、オフロードにおける基本性能を担保している。ラグジュアリィを名乗ろうとしていたライバルたちが、開発においてグランドチェロキーをベンチマークに掲げていたというのは、有名な話だ。
そんなグランドチェロキーが、より乗用車的、さらなるラグジュアリィを目指して、大きくステップアップしたのが、フロントサスペンションに独立懸架式を採用し、2005年にデビューを飾った3世代目。
オンロードにおける快適性はそれまでのモデルの比ではなく、NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)を含めて、驚くような進化を遂げた。日本導入モデルはV8のみだったが、新たに、5.7リッターHEMIエンジンを加えた。また、SRT8と呼ばれるオンロードパフォーマンスに長けたモデルをラインナップしたこともトピックとなっていた。ちなみに、先に紹介したコマンダーは、このグランドチェロキーをベースに仕立てられたモデルだ。