それにしても新型の性能スペックにはすさまじいものがある。「スタンダード」の4.4リッター直噴V8ツインターボですでに旧型比+25psの600psを達成。「コンペティション」にいたっては625psを発揮する。最大トルクはいずれも750Nm。これに8速MステップトロニックATとM専用チューンのxドライブシステム(4WD)を組み合わせて、約2.3tもの巨艦を0→100km/h加速3.8秒(コンペティション)で走らせる。これがどれほどすさまじい数字かというと、たとえば0→100km/h加速3.8秒は5リッター時代の「ランボルギーニガヤルド」より速い。スーパーカーキラーである。
とてつもない性能を手に入れたことは迫力のスタイリングからも容易に想像がつく。サーキット使用でも十分な冷却性能を得るべく大きく開いたフロントバンパーグリルに、巨大なタイヤとブレーキを仕込むため張り出したフェンダー、そしてリアエンドスポイラーに左右合計4本出しエンドパイプなどなど、ベースモデルとの差は明白だ。
BMWのSUV=Xシリーズのうちミドルサイズ以上のX3からX7まではメインマーケット北米のサウスカロライナ州スパータンバーグ工場で生産される(ほかに中国や南アフリカでも造られている)。それゆえ今回の試乗会は新型コロナ禍に見舞われる直前のアメリカはアリゾナ州スコッツデールで開催された。
日本仕様として導入される「X5Mコンペティション」と「X6Mコンペティション」の2モデルに試乗した。事前にその中身はほとんど同じだという説明を受けていた筆者は、にも関わらず両車の走りのテイストにはっきりとした違いを感じていた。「X5Mコンペティション」のほうが断然に運転しやすかったのだ。どこがどう、そしてなぜ違ったのだろうか?