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日本に入るグレードはまた未定だが、本国では3種類のガソリンエンジンに加え、2種類のディーゼル、さらに「E-TENSE」というEVモデルも用意されている。

これを可能ならしめたのは、PSAの最新プラットフォームで、市販モデルとしてDS 3クロスバックに初めて採用された「コモン・モジュラー・プラットフォーム(CMP)」に負うところが大きい。CMPの何がコモン(共通)かといえば、それはガソリン、ディーゼル、電気モーターという3種類すべてのパワートレインを搭載できる点だ。今回、試乗したのは日本市場にも導入されるガソリン3気筒1.2Lターボのピュアテック130ps版で、最大トルクは230Nm/1750rpmとなる。ガソリンはもう1種類、同排気量でよりパワフルなチューンのピュアテック155ps・240Nmにも乗ったが、トルクがさほど変わらないこともあって、加速中のフィーリングに大きく隔たるほどの差はない。強いていえば、やや後者の方がエキゾーストの音量ボリュームが抑え気味で、中回転域からも伸びる。ただし8速オートマチック・トランスミッションの全域で滑らかな制御に差はなく、減速から停止に至る際にも、前のめりのショックを感じることはなかった。

それよりも動的質感という点で見事だったのは、市街地でも高速道路でもロードノイズやフロアからの振動が巧みに抑えられており、素晴らしく静粛性が高いことだ。開発要件をまとめた担当者から聞いたところによれば、ベンチマークとしたのはアウディQ2で、Q2よりも静粛性に優れることは開発プロジェクトの最優先事項だったという。

とはいえ同門のPSAグループ内でも、快適志向のシトロエンとスポーティ志向のプジョーに挟まれたDSは、「DSらしい走り」を自ら再定義する必要があった。だが1955年発表のオリジナルのシトロエンDSに連なる、静かでバウンスの柔らかな乗り心地と、スムーズでコンフォート性を犠牲にしないパフォーマンスという、自らのルーツをブランドとして独立した2台目のモデルにして、早々に見つけたことは間違いない。

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プレミアム・クロスオーバーである以上、直接に競合するライバルはアウディQ2とミニ・カントリーマンだが、外寸という視点ではトヨタC-HR、マツダCX-3や日産ジュークらともカチ合う。

実際、峠道ではSUVらしからぬハンドリングの精確さと身のこなしの軽さが際立った。フランス仕様で1200kg強、日本仕様でも1300kgを優に切る軽量さとCMPの低重心設計も手伝い、コーナリングでは予想以上に粘り強いロードホールディングを見せる。4.2m足らずの全長で18インチ履きなのだから、バネ下重量はそこそこあるはずなのだがホイールコントロールがしなやかで、荒れた路面でも急な突き上げでラインを乱したりすることがない。トレース性は上のクラスの車格であるかのようにどっしりしているのに、身のこなしだけがBセグの軽さそのままという、不思議な感覚なのだ。ひとつだけ難を挙げるとすれば、大径タイヤゆえか、最小回転半径は5.3m強と決して小さくなく、ヘアピンの続くつづら折りではステアリング操作というよりラインどりに気を使った。 また高速道路や幹線道路におけるADAS機能に関しては、期待以上だった。巡航中に車線内でレーンキープアシストを効かせると、車体のコンパクトなクルマは左右の車線に代わる代わる反応して「ピンボール現象」を起こすことがままある。ところが近頃のPSAのADAS機能はACCをオンにした際に、左寄りか右寄りか、はたまた中央か、車線内ポジションをメモリーして同じように保とうとする「レーンポジショニングアシスト」が効いているので、違和感がないのだ。安心感が高いというより、修正舵やブレーキ補助というカタチで介入してくることもあまり感じさせない制御なので、バックグラウンドで使っても嫌な気がしない。それだけ完成度の高いレベル2といえる。

シートも非常に上質。座面のデザインだけでなくヘッドレスト裏にはDSブランドのロゴがあしらわれる。全長4.1mのコンパクトサイズのクルマでこういった贅沢な処理がされるクルマも珍しい。

シートも非常に上質。座面のデザインだけでなくヘッドレスト裏にはDSブランドのロゴがあしらわれる。全長4.1mのコンパクトサイズのクルマでこういった贅沢な処理がされるクルマも珍しい。

インテリアはDSブランドらしく個性的で凝ったデザインに。エアコンの吹き出し口ひとつとっても独創的。機能面でもストップ&ゴー機能付きのアクティブクルーズコントロールなども備えている。

インテリアはDSブランドらしく個性的で凝ったデザインに。エアコンの吹き出し口ひとつとっても独創的。機能面でもストップ&ゴー機能付きのアクティブクルーズコントロールなども備えている。

クルマの細部写真とは思えないようなデザイン処理を様々な箇所に採用。こういった手法をとれるブランドは今はDSブランドだけと言ってもいいかもしれない。

クルマの細部写真とは思えないようなデザイン処理を様々な箇所に採用。こういった手法をとれるブランドは今はDSブランドだけと言ってもいいかもしれない。

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