歴史があるからこそ輝く、斬新なクリエーション

モンクレールはスイスに程近いフランス東部、オート=サヴォワに位置する小村で、1952年に誕生した。当初は寝袋やテント、アノラックなどを手掛けていたが、程なくして本格的なダウンの開発に着手。世界の名だたる登頂隊、遠征隊に製品を提供し、現在へ続く名声を得たのだった。その後も五輪フランスチームの公式ウェアを手掛けるなど躍進を続けたブランドはやがて、ファッショニスタからの寵愛も受けることとなる。
今世紀に入ると、モードメゾンとのコラボレーションが話題を呼び、ラグジュアリーダウンという新しい分野を開拓。ダウンのまだ見ぬ可能性を追求してゆく。その集大成といえるのが、2018年の2月に発表された「モンクレール ジーニアス」だ。このプロジェクトは、世界のクリエーターたちとタッグを組み生まれた全8つのコレクションが、マンスリーでローンチされるという前代未聞のもの。日本からも藤原ヒロシと二宮 啓の2人が参加。異なる才をダウンを核とするウェアに作用させることで、思いもよらぬ斬新なスタイルを創造せんというわけだ。多彩なブランドが凌ぎを削る昨今のダウンシーンだが、こうした革新に挑戦し続ける存在は希有。そこに、モンクレールの特別な魅力がある。
まだ見ぬダウンを創る「モンクレール ジーニアス」(写真2枚)
[MEN’S EX 2018年12月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)