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「昔から、スーツはダンディなものだと心得てきた」

約200本の映画に出演する名バイプレーヤーといえど、果たして「大統領」を演じてほしいと急に頼まれ、応える術があるのか?少々無茶振りが過ぎるのではないかという我々の不安を、光石さんは演説に力を込めるように手を振る、最初のワンアクションで打ち払った。まさに一瞬で、大統領の威厳が現場に満ちたのだ。今日に限らず、一体どんな役作りをしているのか? 撮影後に尋ねると、こんな謙虚な答えが返ってきた。「衣装を揃えてくれて、髪型はこうしましょうか?とみんながやってくれて。僕一人が脚本読んでどうとかそういうことより、みんなにおだてられているうちに、役者はその気になって役に近づいていくと思うんです」。

無論、衣装は重要なツールだと光石さんは言う。今日着用したのは、合衆国大統領御用達で知られる「ブルックス ブラザーズ」のフランネルスーツだったが、実は光石さん、根っからのアメトラ好き。撮影中も「これ、カッコいいなあ」と繰り返しつぶやいていた。「職業柄、自前でスーツを着る機会はあまりないのですが、スーツは大好き。サラリーマンだった父がよく、会社まで来てくれるスーツ屋さんでスーツを仕立てていたんですね。’60年代の大人ってそれがステータスだったみたいで。実家でも父が仕立てたスーツが、紙箱に仕舞われタンスに積まれていました。そういうのがダンディに思えて、ずっと憧れていたんです」。

 奇しくも撮影時と同じ、グレー無地のスーツが好みだと光石さん。「グレーは一番、オトナを感じる色。グレーフランネルの3ピースに白シャツ……最高じゃないですか」。そう語る光石さんは洒落者の例に漏れず、道行く人に振り返られるような格好は好まないという。「電車に乗ったときなんかに、普通の格好なんだけどウイングチップ履いてる! だとか、あの靴はもしかしてオールデンか!?みたいな格好をしているお父さんをたまに見かけると、服好きはおぉ?となるじゃないですか(笑)。そういう、一見わかんないんだけど実は……ってお洒落が好きですね」。

PROFILE

光石研

みついし・けん

1961年生まれ。映画『博多っ子純情』(’78年)でデビュー。近年の出演作に『羊と鋼の森』『教誨師』など。刑事を熱演する『連続ドラマW コールドケース2〜真実の扉〜』が放映中。



スーツ13万円、ベスト2万6000円、シャツ1万9000円、タイ1万2000円/以上ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズ ジャパン) 靴6万9000円/アレン エドモンズ(トレーディングポスト青山本店) メガネ2万9000円/イエローズ プラス(デコラ) 時計59万円/IWC

※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2018年11月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)


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