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ホテル選びの世界基準
「ルレ・エ・シャトー」認証とは?
日本では旅好き、食通を中心に知る人ぞ知る旅の情報源。世界では確固たる地位を築く“ホテル選びの世界基準”がある。ここでは、そんな「ルレ・エ・シャトー」について学ぶ。
厳格な審査を経て認証される“料理”と“おもてなし”の世界基準
ルレ・エ・シャトーとは、スモールラグジュアリーなホテルやレストランが加盟する非営利の国際会員組織のこと。1954年に南フランスで誕生し、いまや世界65カ国で約580軒を擁する。
その最大の特徴は、厳格な審査基準。加盟を希望する施設は、予約からチェックアウトまで500を超える項目で覆面審査を受け、合格率はわずか5%以下。加盟後も2年に1度は再審査が行われ、結果次第では除名となる。大半は独立系の施設であるため、地域ごとの個性が豊かな点も大きな魅力だ。現在、日本では20のホテルとレストランが加盟している。
理念の中心は、“料理”と“おもてなし”でよりよい世界をつくること。加えて、ユネスコとパートナーシップを結び、食の伝統文化の保存、生物多様性の保護、より人道的な世界に向けて行動するなど、12のコミットメントを掲げている。単なるラグジュアリーではなく、地域性を生かした世界基準のホスピタリティを届けること。――― それこそがルレ・エ・シャトーの使命であり、旅慣れた人々や美食家から信頼される所以と言えよう。
ルレ・エ・シャトー会長 ロラン・ガルディニエ氏
2023年に選挙で選出され、ルレ・エ・シャトー会長に就任。フランス、シャンパーニュ地方のホテル「ドメーヌ・レ・クレイエール」、パリのレストラン「タイユヴァン」という、歴史ある2軒のオーナーでもある。
数字で見るルレ・エ・シャトー
- 580の加盟メンバー
- 5大陸、65か国
- 13,510の客室・スイート(600のヴィラ含む)
- 42,000人のスタッフ
- 80の独立系レストラン
- 377のミシュランの星、41のグリーンスター
- 300の施設で自家菜園
- 100の施設で養蜂
- 55の施設で自社ワイン醸造
いつかは訪れてみたい
世界が認める「日本のルレ・エ・シャトー」LIST
現在、厳しい審査を経てルレ・エ・シャトーに加盟する日本の施設は20軒。その中から、いつかは訪れたいレストラン3軒を、編集部が厳選して紹介する。
ラ・ベカス
[大阪・淀屋橋]
本場フランスの三ツ星レストランで研鑽を積み、ボキューズ、ロブション、シャペルといった巨匠に師事した渋谷圭紀氏が、大阪の中心に築いた名店。“完成形を作らない”を哲学とし、日々進化する秀逸な一皿を提供し続ける。季節のジビエ料理も高い評価を得ている。
ラ・ベカス
大阪府大阪市中央区平野町3-3-9 湯木ビル1F
TEL:06-4707-0070
柏屋
[大阪・千里山]
伝統的な茶道の形式に基づく数寄屋造りの空間で、古き良き伝統を重んじながら現代の感性を映した会席を供する料亭レストラン。天下の台所・大阪で新たな食の伝統を紡ぐ松尾英明氏が、素材の滋味を鮮やかに引き出し、五感を満たし心を遊ばせる一皿へと昇華させる。
柏屋
大阪府吹田市千里山西2-5-18
TEL:06-6386-2234
オトワレストラン
[栃木・宇都宮]
フランスの巨匠アラン・シャペルのもとで研鑽を積んだ音羽和紀氏が、故郷・宇都宮で開いたレストラン。地元産の食材を生かした料理は芸術作品のように美しく構成され、大谷石や益子焼の器に盛られることで栃木の伝統と響き合う。フランスの骨董品や彫刻が店内を彩る。
オトワレストラン
栃木県宇都宮市西原町3554-7
TEL:028-651-0108
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)





