電動化技術の集大成。まだ見ぬ次世代BEVマシンのテクノロジーとは
フェラーリは2025年10月、マラネロで開催されたキャピタル・マーケット・デイ 2025において、ブランド史上初となる電気自動車「Elettrica(エレットリカ)」のテクノロジーの概要、シャシーおよび主要コンポーネントを発表した。車両全体の姿はまだ明かされていないものの、その“骨格”からは、フェラーリが電動時代に描く哲学と情熱が明確に読み取れる。
アルミスペースフレームは、軽量化と高剛性を極限まで突き詰めた新開発構造体。パッケージングは「Roma」と「296 GTB」の中間に位置し、バッテリーパックを車体中央に組み込むことで理想的な前後重量配分を実現。さらに内燃モデル比で重心を80mm低下させ、俊敏なハンドリングと高い安定性を両立している。
駆動システムは、前後に搭載された電動アクスル(e-axle)が独立してトルクを制御する4WD構成。各モーターの出力と回生ブレーキを瞬時に最適化し、路面状況やドライバーの操作に応じて精密に挙動を制御する。800Vアーキテクチャを採用したパワートレインは最高出力約610kW(830ps)を発揮し、0→100km/h加速は2秒台を想定。駆動トルクや回転数を解析して生成される専用サウンド・システムも開発中で、静寂の中にフェラーリ特有の官能を宿す。
バッテリーは自社開発による約100kWhユニットを採用し、軽量なカーボンモジュール構造で冷却効率を高める。航続距離はWLTPモードで約500km、急速充電では18分で80%まで回復可能。サーキットユースにも対応する高い熱管理性能を備え、走りの持続性を追求している。
開発と生産を担うのは、マラネロに新設された「E-Building」。パワートレインから制御ソフトウェア、サウンド設計に至るまで、すべてを自社で完結。フェラーリは「Elettricaのすべての要素に跳ね馬の魂を宿す」と語る。そしてElettricaは、電動・ハイブリッド・内燃の三本柱を併走させる“マルチエナジー戦略”の中で、未来のフェラーリ像を具現する重要な節目となる。





