プレッピーにアイビー、「ブレザーの変遷」を知っていますか?

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トラッドの歴史と流行を知る賢者が語る
ブレザーの変遷、そして今。

’60年代の日本でのアイビーブーム以来、何度も男の着こなしの主役となってきたブレザー。識者2人が語るその変遷と、歴史の延長上にあるブレザーの”今”とは?

左:綿谷 寛さん 右:仲村達也さん
綿谷 寛さん(左)と中村達也さん(右)
中村達也さん

ビームス クリエイティブディレクター
中村達也さん

1963年新潟県生まれ。ビームスのドレスクロージング部門を統括し、世のトレンドを牽引。ブレザーは大好物で、現在7着を所有。


綿谷 寛さん

イラストレーター
綿谷 寛さん

1957年東京都生まれ。小学校3年生のときに兄の雑誌を見てお洒落に覚醒する。愛称は画伯。トラッドに精通するウェルドレッサー。


アイビーの時代はルールに則って着ることが善だった

左:綿谷 寛さん 右:仲村達也さん

「ブレイキングルールこそブレザーの歴史」(中村達也さん)

M.E. 各時代のファッションの潮流を知るお二人に、ブレザーの変遷について伺いたく、本日はお越しいただきました。お二人は最初にブレザーを着たときのことを覚えていますでしょうか?

綿谷 寛さん(以下綿谷さん) 僕が初めて買ったのは19歳のときで’76年くらい。この頃は『メイド・イン・USAカタログ』の影響で、トラッドの人気が再燃していた。ブランドはやっぱり、VANあたりだったのかな。3つボタン段返りで、オーソドックスなブレザーでした。

中村達也さん(以下中村さん) 僕も’70年代の終わり、高校生のときに着た覚えがあります。世の中ではヒッピーやピーコックといった派手な着こなしも流行りましたが、日本では’60年代のアイビーブームの影響が凄くて、’70年代もこの流れが強く残っていましたね。当時はハウツー本があって、その通り着ないといけないとされていた。僕もBDシャツやレジメンタルタイを合わせてマジメに着ていましたね。

M.E. その後、ブレザーはどう変遷していったのでしょう。

綿谷さん 70年代の終わり、ラルフローレンが知られるようになった頃“ブリティッシュアメリカン”というスタイルが流行りました。それまでの3B段返りのボックスシルエットじゃなく、フロントはボタン低めの2B。ウエストが絞られてるのが印象的でした。

中村さん セザラニとかジェフリー・バンクスとか、NY系デザイナーが考えるブリティッシュスタイルというのが流行したんですよね

綿谷さん ”大人のトラッド”みたいな感じで格好よかったなぁ。

中村さん もう少し経つと映画の『炎のランナー』(’81年)が流行して。

綿谷さん 雑誌の街頭スナップもパイピングブレザーだらけ。カンカン帽被っちゃって(笑)。今日持参した昔の雑誌にも「’82年、『炎のランナー』の影響でクラブマンルックの人気高まる」とありますね。

中村さん プレッピーが出てきたのもこの頃ですね。BDシャツの中にポロシャツを挟み、その上にブレザーを着るという。アイビーリーグを目指すような有名私立校に通う少年達のスタイル、という触れ込みでした。

綿谷さん 鮮やかなケリーグリーンのポロシャツにピンクのパンツを合わせたり、当時は衝撃的でした。

中村さん フレンチアイビーやフレンチトラッドという言葉もこの後から使われ出した。放出品の軍パンにブレザーを合わせたり、BDシャツの首元にアスコットタイを巻いたり。今までルール通りに着るのがお洒落とされていたが、次第に”ブレイキングルール”がお洒落に映るようになった

綿谷さん 今では当たり前の着こなしですが、アンディ・ウォーホルがブルーデニムにブレザーを合わせたのを見たときは驚きました。

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