ミラノデザインウィークでキッチンの新潮流を探る(後編)

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ミラノデザインウィークでキッチンの新潮流を探る(後編)

ミラノで見た最新キッチン
デザインもAI技術も進化

>>前編はこちら

もう一つの傾向はインテリアのメインアクセントとなる「塊のようなキッチン」。数年前から天然石は家具でもキッチンでも人気の素材だが、火山国であるイタリアは希少な石の産地としても有名。調理台から扉まで石を使った彫刻のようなキッチンは、住まいのシンボルとなる一生もののキッチンだ。ガラスキャビネットを組み込んだコレクションボードスタイルもこの数年増えており、食器からアートまで飾れ、世界の富裕層のラグジュアリーライフに欠かせないものとなっている。ヒンジの進化で収納の一部が回転して隠せるキッチンも登場した。

そしてキッチンに欠かせないのがビルトイン家電。ミラノサローネ会場では「テクノロジー・フォー・ザ・キッチン」と称した家電の専門ゾーンもあった。AI技術が進み、スマートスピーカーと連動するのは当たり前。低温調理など繊細な温度管理ができるIHクッキングヒーターや、鮮度保持を重視しフードロスを防ぐ冷蔵庫など、最新の技術を各メーカーが競い合った。家電のデザインはリビング家具や内装の色のトレンドと足並みを揃え、扉色もベージュやマットブラック、グレーなど、よりインテリアに調和し溶け込む傾向に。

前編で紹介した、キッチン空間の広がりとも無関係ではなく、キッチンらしく見えないけれどスマート化で家事効率を上げ、料理の味や仕上がりもしっかり確保する。近い未来に現実になりそうな、家庭での新しい食のシーンが各社で展開された。

Miele

ドイツのビルトイン家電、ミーレのブース。近未来的な映像に導かれてブースに入ると、食材を認知して自動調理する「スマートフードID」を搭載した調理家電や、複数の調理家電が連携して料理を仕上げるシステムなど、最新の技術を披露。しっかり話を聞かないと理解できないほど、家電の技術が激変していると痛感。

ミーレ・ジャパン
https://www.miele.co.jp/

SieMatic

日本でも人気のジーマティックは、ハンドルレスデザインを進化させた「S2 Next Generation」を展示。回転式のコーナー収納やシークレットサービスというレール内の隠し収納などがデザインと機能を兼ねそなえる。

ジーマティック青山
https://www.siematic-japan.com/

minotticucine

ミノッティクチーネのキッチンは天然石や無垢の金属や木材で仕立てるアーティスティックなキッチン。一見してキッチンには見えないミニマリスティックデザインは世界のセレブリティに愛されている。新作は光を透過する石を採用し、神々しいほど。

ミノッティクチーネジャパン
https://www.minotticucine.jp/

ステンレスキッチンが復活の兆し?

ここ数年、世界のキッチンは天然石や大判セラミックを使った重厚なキッチンが人気だったが、今年はステンレスキッチンが目立った。耐久性があるのでアウトドアキッチンに採用されたり、プロの厨房風の雰囲気を演出したりと、改めてステンレスの機能美に魅了された。

コンパクトで可愛らしいアビミスのキッチン。

Abimis
https://abimis.com/en/
※日本での取り扱いなし

アルクリネアはプロ厨房風キッチン「プロキシマ」を発表。ライブクッキングが楽しめる豪邸向けのショーキッチン。

Arclinea
https://arclinea.jp/

文/本間美紀 Honma Miki(キッチンジャーナリスト)
『人生を変えるインテリアキッチン』(小学館)などの著書で、インテリアとキッチンが一体になる空間を提唱。ミラノサローネの取材歴は20年以上。近年、日本の家庭でも人気がある海外ブランドキッチンの取材も多数。

一覧はこちら:ミラノデザインウィーク探訪

[MEN’S EX Summer 2024の記事を再構成]

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